2024年4月19日(金)

坂本幸雄の漂流ものづくり大国の治し方

2016年8月3日

 エルピーダメモリのCEOを務めていたときも、優秀な女性社員の引き上げを図った。エルピーダは日立、NEC、三菱電機の半導体部門が切り離されてできた企業で年功序列制度に慣れている社員が多くいたが、これを実力主義に改め、若くとも優秀な社員は男女問わず引き上げた。

 TIでは「差があることは価値」と言われ、積極的にダイバーシティ(多様性)を取り入れ、議論も活発に行われていた。しかし、日本企業は未だに「議論は避け、出る杭にならないようにする」文化が根強いように感じる。男性とは異なる女性の視点を面倒に思うのではなく「価値」と捉えるべき、というと当たり前に聞こえるかもしれないが、実践できている日本企業は少ないだろう。

 女性が活躍できる環境の整備を突き詰めて考えていくと、日本企業の悪しき働き方の問題に行き着く。例えば次のような点だ。

  ・ITが発達した現在、毎日職場に出勤する意味はあるのだろうか?

  ・9時~17時という勤務時間に意味があるのだろうか? 子どもが起きる前、幼稚園にいる時間、子どもの就寝後の時間を合わせて8時間働けばよいのではないだろうか?

  ・そもそも1日8時間働くということに意味があるのだろうか? 勤務時間ではなく、成果をベースに働くべきではないだろうか?

 女性が活躍できる環境を真剣に考えることは、日本企業に染みついている非効率な働き方を見直すことにつながる。これはどの企業にとってもプラスに働くはずだ。

  
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◆Wedge2016年6月号より


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