2024年7月25日(木)

オトナの教養 週末の一冊

2016年6月18日

編集部 憲法の中にある参議院に関する間違いを指摘されていますね。

三山氏 初歩的なミスなのですが、憲法第7条4項に天皇の国事行為として「国会議員の“総選挙”の施行を公示すること」とありますが、参議院は半数改選であり、「総選挙」はありません。憲法制定の過程で、GHQは一院制の草案を出しましたが、日本側が二院制を要求し、これをGHQが容認したという経緯があります。その中で、この部分を翻訳し忘れたというお粗末な結果なのです。

私学助成金は憲法違反

編集部 私立大学などに対する「私学助成金」も厳格に憲法に当てはめれば、違憲であることには驚きました。

三山氏 2015年の集団的自衛権に関する法律審議において「解釈改憲である」という批判を浴びました。しかし、解釈改憲は何も珍しいことではないのです。国際情勢、日本の社会状況の変化によってこれまで何度も行われてきました。その最もわかりやすい例は、「私学助成金」です。

 憲法89条には「公金は公の支配に属さない教育に支出してはならない」とあります。それにもかかわらず、1970年に「公の支配に属さない」私立学校に補助金を出すことになり、今日も続いています。本来なら憲法改正しないとできないことですが、当時、佐藤内閣で補助ができるように解釈変更されたのです。この当時は戦後復興、高度成長を経て大学進学率が向上し、私学への進学が増えて、政府予算での補助が必要となっていました。時期に適ったことであり、野党からも「解釈改憲だから認められない」という反対論はほとんど出ませんでした。

編集部 日本の憲法が「世界最古」というのもあまり知られていないことです。

三山氏 世界197カ国のうち現行憲法で最も古く制定されたのは、1787年の米国憲法です。そいう意味では、日本の憲法は14番目に古いということになるのですが、制定以来一度も、一言一句も変更していないということで、「最も古い」ということになるのです。外国では憲法改正ということは、そんなに仰々しいことではなく、「必要が生じればしばしば行われる」ことなのです。


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