編集部 一方で、憲法9条に代表される「平和憲法」は、全く変える必要がないという声もあります。
三山氏 国民の大半が自衛隊の存在を認めているのに、なお、「違憲論」があります。憲法9条をどうするのか、議論することはよいことです。ただ、民進党の前身の民主党も党内調査会で9条を含めた改正内容をまとめたことがあるのですが、選挙が近づくと口にしなくなります。今は「安倍晋三内閣での改憲は反対」と唱えています。憲法改正を発議するのは、衆参両院であり、行政府ではないのですよ。議論の根底がズレているし、政局、選挙が絡んでいます。
これまで護憲派、改憲派ともに「違いを際立たせる」ことに注力してきました。そうではなく、「合意を追求する」ことから始めるべきだと思います。参議院の「総」選挙や、私学への助成などについて憲法を修正することに反論する人は少ないのではないでしょうか。
また、東日本大震災においても改めて浮き彫りになりましたが、緊急事態への対応ということについても現行の憲法のままでは対応できないことがあります。2011年の4月には統一地方選が迫っていましたが、この時は法律事項なので特例法によって東北3県の議員や首長の任期が延長されました。しかし、国会議員の場合、憲法45条(衆院)、46条(参院)によって任期が定められているため、特例法のような形で、法律が上位法規である憲法の規定を変更することはできません。この部分の改正の必要性は民進党の枝野幸男幹事長も認めていますよ。
解釈変更こそ憲法軽視
編集部 それでも、これまで解釈変更でやってきたんだから、これからもそれでよいと言えませんか?
三山氏 それこそ憲法を額に入れて“飾り物”にする「憲法軽視、無視主義」で、立憲主義も法の支配も否定する危険な思想ですよ(笑)。憲法はあってもなくてもよい、解釈変更できるので「守らなくてもよい」ということになります。そのような事態を避けるためにも、「不都合であるから修正する」、「新しいニーズができたので追加する」と素直に考えればよいのではないのですか。
編集部 ありがとうございました。
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