WEDGE REPORT

2016年6月20日

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中央政府とクルド人との確執も

 イラク軍は18日、モスルの本格的な奪還作戦を開始したことを発表した。すでにモスル南部50キロのナスルなど数カ所の村々をISから奪い返した。戦闘を率いているのはイラク15師団の第71旅団。旅団長を戦闘で失いながらもIS側との戦闘を激化させている。

 モスルは人口200万人のイラク第2の都市。ISはモスルをイラクの“首都”とし、シリアの首都ラッカと並んで最大の拠点として占領を続けている。市民の半分は脱出したと見られるが、なお約100万人が市内に居住しており、ISはファルージャ同様、米空爆を避けるために市民を“人間の盾”として使っている。

 オバマ政権は年末までにモスルを奪還したい考えだ。しかしISはモスルを失うことは組織が崩壊することに等しいとして、徹底抗戦の構えを崩していない。モスルの攻防戦は過去最大の激戦になると予想されており、奪還は容易ではない。

 しかもモスルが陥落した後にその支配をどうするか、イラク中央政府と北部を勢力圏とするクルド自治政府が水面下で早くも火花をちらしており、イラク国内の政治的権力闘争も絡んで状況は複雑なものになりそう。

 中でも米国は、イランがイラクに対する軍事的支援を強め、シーア派民兵を配下に置くなどその勢力を増していることを懸念しており、今後はモスルの戦況とは別に、イランの影響力の拡大をどう食い止めるかも大きな焦点となる。
 

  
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