米フロリダ州オーランドにあるゲイのナイトクラブで起きた銃撃事件は49人が死亡するという米史上最悪の銃撃テロとなった。犯人は過激派組織「イスラム国」(IS)に刺激を受けたローン・ウルフ(一匹狼)との見方が濃厚だ。ISのニュースサイトが犯行声明を出しており、米捜査当局は背後関係の解明に全力を挙げている。
“ラテン・ナイト”に侵入
このナイトクラブ「パルス」はレストランやショッピングセンターなどが密集するオーランドの繁華街にある。ディズニー・ワールドから約25キロのところだ。ゲイやレズビアンなどが集まることで有名で、当日は「ラテン・ナイト」と銘打ち、サルサなどのショーも行われていた。
午前2時ごろ、店内に男が侵入し、突然、銃撃を始めた。当時フロアなどには約300人の客がおり、一瞬でパニック状態になった。男は一回は店外に出たものの、すぐに戻り攻撃用ライフルを乱射。店内の警備をしていた非番の警察官と銃撃戦になった。
男はその後、数十人を人質に取り、約3時間立てこもった。男が身に付けていた爆弾を爆発させようとしたため午前5時ごろ、特殊部隊SWATが突入し、男を射殺した。店内で38人が死亡、店外の道路で力尽きた2人が死んでいるのが見つかった。病院に搬送された被害者のうち9人が死亡、計49人が犠牲になった。
男はフロリダ州のフォート・ピアス在住のオマル・マティーン容疑者(29)と特定された。マティーンの明確な動機や背後関係は不明だが、ISのアマク通信が事件の数時間後に「われわれの戦闘員によって実行された」との犯行声明を出した。
マティーン自身、銃撃の直前に救急隊に自分で電話を掛け、ISの指導者(アブバクル・バグダディ)に忠誠を誓ったと宣言、2013年のボストン・マラソン爆破テロについても言及した、という。マティーンは立てこもっている間、人質の解放などについて警察と電話で話をしていたが、極めて冷静だった。