世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年7月5日

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演説の内容だけでは語れぬオバマ広島訪問

 これらの社説は、当然あり得べき批判を書いたものです。両紙とも、それぞれがいかにも書きそうなことを書いたということです。

 NYT紙は、オバマは戦争の責任は日本にあることを確認した、と言っていますが、オバマはそういう意図で引用されている演説のくだりを述べたのではないと思います。

 ワシントン・ポスト紙のコラムニスト、ディオンヌは、5月29日付同紙掲載のコラム‘Obama and Hiroshima’s moral lessons’で、この文章は、謝罪をせず、原爆投下を戦争による全ての破壊の文脈の中で捉えたものだとしつつ、強制された行進と死の収容所への言及があることをもって、この文章に内在するのは連合国側の戦争目的だ、と述べています。なお、ディオンヌはオバマの演説に好意的で、演説には迫力があったと評価しています。

 いずれにせよ、オバマの広島訪問の意義を演説のみに着目して評価する努力は当を得たものではありません。広島訪問を全体として評価すべきです。我が国で高く評価され、米国でも批判はないようであることを見れば、訪問は成功でした。あえて印象を言えば、演説は長過ぎました。政治的には危険が伴ったかも知れませんが、演説を削り、原爆資料館滞在にもう少々の時間を当てれば、より効果的であったでしょう。

  
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