2024年4月27日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年6月28日

 米国のヴォーテル中央軍司令官のイラク、シリアなどの訪問に同行した米ワシントン・ポスト紙コラムニストのイグネイシャスが、5月22日付の同紙で、ISを打ち破るにはシリアのクルド軍(YPG民兵)とスンニ派の族長などとの連合に頼るほかない、と述べています。論説の要旨は、以下の通りです。

※写真はイメージです(iStock)

勇猛果敢なクルド人戦闘員

 シリアで一番勇敢なのはクルド(YPG)の戦闘員である。米国はスンニ派、キリスト教徒などからなる「シリア民主軍」とYPGの新しい連合をつくっている。政治的には理想的でないが、軍事的には有益である。

 ヴォーテル司令官は、現実を踏まえて戦わなければならないと述べた。

 米国は当初、5億ドルを投じ、新しいスンニ派中心の軍を作るべく「訓練・装備」計画を実施したが、失敗した。そこで米司令官たちは、トルコの強い反対にもかかわらず、戦闘経験豊かなYPGに頼ることとし、昨年10月スンニ派、キリスト教徒の軍との連合をつくった。

 シリアのクルド人は、男女を問わず猛烈な戦闘員である。女性の戦闘員は男性に劣らず勇猛果敢である。

 ヴォーテルは、シリアでの当初の失敗の経験から、完全な兵力を作るのではなく、現存の勢力で戦うことを学んだ。

 日和見的なスンニ派の族長達は、YPGと組むことがISと戦う最善の策だと、いやいや認めるようになった。ある有力な族長は、YPGが我々を解放してくれる唯一の軍であることが分かった、と言った。


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