世界の記述

2016年8月12日

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結局既存勢力に抱きこまれた左派

 こうしたトップが登場したのは、南米でポピュリズム疲れが起きているからだというのが同紙の指摘だ。

 南米の最近のポピュリスト大統領を列挙するとこうだ。ベネズエラのチャベス氏(99~13年在任)、ブラジルのルーラ氏(03~11年)、ボリビアのモラレス氏(06年~現在)、アルゼンチンのキルチネル氏(03~07年)とその妻フェルナンデス氏(07~15年)、ペルーのウマラ氏(11年~現在)――。

 いずれも、市場優先、緊縮策を基礎にした新自由主義を嫌い、貧困解決、格差解消を唱えて圧倒的な支持を得た。しかし、実際に政権に就けば、旧来の新自由主義体制を放棄することなどできず、既成勢力に抱き込まれた。貧困対策と言えば、その根を解決できないばらまきに終始、公約は果たされなかった。

 それでも彼らの在任時は世界経済が追い風だった。中国など新興市場の需要が急増し原油や鉄、非鉄、農産物など1次産品価格の上昇、経済規模が順調に伸び、財政がいい加減でもボロを隠すことができた時代だ。だがここ数年の経済の逆風で、左派ポピュリスト政権の財政は悪化。汚職が暴露されるようになり、政権を追われた。ブラジルのルーラ氏の弟子に当たるルセフ大統領も弾劾に遭い、風前のともしびと言え、左派ポピュリズム政権がよみがえる可能性は低い。

 では、新たな実務派たちに奇策はあるのか。微妙なところだが、再び新自由主義体制の強化を進め、財政再建を図る以外にない。容易ではないが、彼らにとって大きな味方が一つある。「左派が語る夢」は幻想に過ぎなかった、カリスマなど必要ないと民衆がすでに冷めていることだ。

  
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