2024年12月6日(金)

科学で斬るスポーツ

2016年8月1日

 体操男子団体は、金メダルに最も近いところにいると言われる。昨年12月英国・グラスゴーで開かれた世界選手権で、37年ぶりの団体総合優勝を果たし、絶対的エースの内村航平選手(27)に加え、「ひねり王子」の異名をとる白井健三選手(19)らがそろって好調を維持しているからだ。世界に通用する得意種目を持つ個性派が集結し、中でも若き新鋭の白井選手の床はたぐいまれなジャンプ力と空中姿勢の安定感で、内村選手をさえ上回る演技を見せる。2人に共通するのは、一流選手の動きを簡単にまねできる能力だ。幼少期から体操で遊び、見よう見真似で技に挑戦、失敗を感覚で覚える「失敗の練習」を積み上げてきた成果だ。日本の伝統ともいえる男子体操の強さの秘密に迫る。

リオ五輪・体操男子日本代表の出発会見。左から白井健三選手、加藤凌平選手、内村航平選手(写真:アフロスポーツ)

ひねり王子は、シライを冠した大技を4つ

新しい体操の技の命名を発表した国際体操連盟のホームページの記事。シライ3ほか2人の日本人名がつく技も認定された。(国際体操連盟HPから)

 今年2月、国際体操連盟(FIG)は、白井選手が昨年12月に初めて挑戦し、成功した床の大技「後方伸身2回宙返り3回ひねり」を「シライ3」と命名した。体操競技では主要大会で初めて成功させた選手の名前を技に命名する慣習がある。過去には鉄棒の「ツカハラ」(後方抱え込み2回宙返り1回ひねり、D難度)、平行棒の「カトウヒロユキ」(後方抱え込み2回宙返り1回ひねり下り、G難度)がある。

 シライ3は、3が示すように床運動では三つ目で、ほかに跳馬でも一つ「シライ」の名を冠した技がある。計4つの新技は、いずれもひねりが中心の大技だ。ちなみ床は「シライ/ニュエン」(後方伸身宙返り4回ひねり)、「シライ2」(前方伸身宙返り3回ひねり)、跳馬は「シライ/キムヒフン」(伸身ユルチェンコ3回ひねり)。シライ3の難度は、AからHまである8段階で最も難しいH難度になった。


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