2024年7月23日(火)

ちょっと寄り道うまいもの

2010年1月28日

冬晴れのもと、早朝から午後まで干した麺を裁断、蔵で2年以上寝かせて熟成させる

 加えて冬場は晴天が多いから、乾燥に適している。小麦粉と水と塩で作る麺に、綿実油(これもかつての産地が近くだった)を塗り、細く細く延ばして作る。さらに、天日で乾燥させ、その上で何年も寝かせて熟成させる。

 その昔はこの地域の農家で冬場の内職として作られていたという。それが、産業化して、現在に至るというわけだ。日本中にそうめんの産地はあるが、そのほとんどが、もとを正せば三輪そうめんが源流であると認めている。

 三輪が、あるいは奈良が日本のそうめんの故郷でもある、ということだ。そして、冬の風物詩だということだ。

 話を麺ゆう館の手延べ体験に戻そう。

 ここは三輪そうめんでも大手の、「三輪そうめん山本」が運営しているところである。桜井市内の本物の工場は、見学などしてもらうには難しい造りでもあり、また、二日にわたるプロセスのすべてを紹介するのは難しいということもあって、エッセンスを感じてもらおうと奈良市内に作られた。

 特に広告などしていないが、口コミで広まり、家族連れやら職場やご近所の仲間など、さまざまなグループが訪れ、麺延ばしを体験している。

 私が訪れた時にも、大阪からだというグループが麺延ばしを楽しんでいた。聞くと、2度目、3度目だという人も少なくない。

 一緒に試して納得。面白いのだ。幅30センチほどの太めのうどんの束のようなものが、ベテラン指導員の今井さんの指導よろしく、ぐいぐいと延ばすと、嘘みたいに延びていく。魚を釣り上げた時のあの独特の感触のように、麺が延びていくところに、不思議な楽しさがある。延ばしていくだけといえば、それまでだけど、奇妙なほどに達成感がある。仲間が頑張っている姿を見たり、声援を送ったり、記念写真を撮ったりするのも楽しいイベントなのである。

 うどん、蕎麦体験が出来るところは多々あるが、そうめんの手延ばし体験など、寡聞にしてほかでは知らない。レアな体験である。

 そして、手元には寝かせていない新鮮そうめんという、これまたレアなお土産が残る。

 というわけで、遷都1300年に沸く奈良を訪れるなら、温かいにゅうめんと麺延ばしの体験もお薦めする次第。麺を延ばしつつ、異文化を受け入れた、いにしえの都を偲びましょう。

■三輪そうめん山本 麺ゆう館
関西本線平城山駅より徒歩約10分
奈良市左京6-5-2  ☎0742(72)3331
営業時間/9時~17時
定休日/月曜、年末年始、お盆
※そうめん延ばし体験は、10月~3月のみ、5日前までに要予約

◆「ひととき」2010年2月号より


 

 


 

「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
週に一度、「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。


新着記事

»もっと見る