2024年7月14日(日)

韓国の「読み方」

2016年8月1日

 慰安婦問題が日韓関係の中心課題となったここ数年の間に、少女像は日韓両国において正反対の意味合いを持つシンボルと化してしまった。いくら朴大統領が剛腕だといっても、簡単に突っ走れるのは財団設立までだろう。少女像の移転は極めてハードルが高い。それが、専門家の多くが当初から抱いてきた見立てだ。

朴槿恵政権は合意を守ろうとしている

 それでも朴槿恵政権は、驚くほど合意の精神を守ろうと無理を重ねている。韓国・京郷新聞によると、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界記憶遺産に慰安婦の関連資料を登録しようとする民間団体に対する資金助成が今年の政府予算に計上されていたものの、実際にはまったく執行されていない。韓国の予算は1月から12月までの暦年なので、予算の策定は合意前、執行は合意後ということになる。さらに、韓国政府が鳴り物入りで進めていた「慰安婦白書」は、昨年12月刊行予定だったのに現在も出ておらず、見通しも不透明になっている。当初は、日本語・英語・中国語版も出すという話だったのだが、外国語版は既に白紙化されたという。韓国政府が2014年から慰安婦問題をテーマに開いてきたシンポジウムなどの啓発活動も見直され、今年のテーマは「女性の人権」に変更された。朴槿恵政権に批判的な進歩派である京郷新聞は、こうした姿勢を痛烈に批判している。

 元慰安婦たちは既に平均年齢90歳になっている。昨年末の合意時点では46人が存命だったが、7カ月の間に6人が亡くなった。日本政府から100点満点の対応を引き出さねばならないなどと言っていたら、存命の方が誰もいなくなってしまう。一人でも多くの方が存命の間に支援事業を実現させたいというのが、関係者に共通した思いだ。韓国政府の説明によれば、財団側が接触できた37人の元慰安婦の多くは財団に参加する意思を表明したという。認知症などで本人の意思を確認できず、家族との対話となった人もいるようだが、それは仕方ないと考えるしかないだろう。とにかく支援事業の実施は急がれるのである。

 日本が10億円を拠出するのは、前述したように明確に合意でうたわれている。合意に入っていない少女像を問題にして資金拠出を先延ばしにするような対応をすれば、「日本が合意を壊そうとしている」ということにしかならない。日韓合意は国際社会に認知されているだけに、それは日本のイメージ低下につながる。昨年末の合意を「最終的かつ不可逆的な合意」にしたいのならば、速やかに10億円を拠出したうえで、財団の行う事業に協力していかなければならないだろう。

  
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