米タフツ大学フレッチャースクールのプリスタップが、フォーリン・アフェアーズ誌ウェブサイトに5月10日付で「安倍は真珠湾を訪問すべきである」との論説を寄せ、安倍総理の真珠湾訪問を推奨しています。プリスタップの論旨、次の通り。
日本におけるG7首脳会議の際のオバマ大統領の広島訪問は、核不拡散体制を強化し、米日同盟を強化し、米のアジアへのリバランスを支援することになる。北朝鮮の核実験、南シナ海での中国の行動がある中、タイミングが良い。
米退役軍人、ワシントンの共和党員、アジア地域諸国などは、広島訪問は広島、長崎への原爆攻撃への公的な国家謝罪ととられることを恐れている。理由は理解できる。こんなに感情が渦巻く場所を訪問し、反省の念を示さないのは難しいし、謝罪に見えることさえ、太平洋戦争での何万の米兵士の犠牲の名誉を汚す。
また、これは日本の第二次大戦の歴史を書き換えようとする超国家主義者に信用を付与する。日本は戦時中の行為とどう折り合いをつけるか苦労してきた。日本の超国家主義者は南京虐殺、バターン死の行進、慰安婦などを釈免しようとしてきた。安倍自身、慰安婦についての言語を柔らかくするように、1996年の国連報告の一部を取り消すことを求めた。
オバマの広島訪問が、米日関係の新しい章を開くとの正しいメッセージを発することが重要である。出来るだけ党派性を排除するべきである。そのためにも、安倍総理は今年末の真珠湾攻撃75周年の記念式典に参加すべきである。これは安倍に戦略的利益になる。
真珠湾記念式典への参列は中韓が問題にする靖国参拝から注意をそらすことを助ける。また、慰安婦についての談話の再検討が呼び起こした批判も静まろう。
安倍は最近、歴史につき和解的な姿勢を見せている。日本は韓国に830万ドルを元慰安婦支援財団に出す。安倍は「次の世代までこの問題を引き延ばさない」と述べたし、米議会で戦争中の米国人の犠牲者を追悼した。真珠湾訪問はこの延長線上でなされるべきで、広島、長崎が孤立してあるのではないことを示すことになろう。
真珠湾訪問は隣国に憲法再解釈による自衛隊の活動範囲を拡大した安保法案を受け入れさせる助けにもなろう。彼が歴史に向き合うことを示せることになる。
最後に広島訪問と真珠湾訪問は感情面で米日関係を強化する。オバマと安倍はそれぞれの国の歴史に向き合い、歴史論争の多いアジアでの模範例を示せる。これは双方の指導者にとり、やるのが正しいことである。
ケリーは未来志向を強調し、広島訪問で謝罪せずに大きな人類の悲劇について考えることが可能であることを示した。オバマと安倍はその例に倣うべきである。
出典:Zach Przystup,‘Abe Should Visit Pearl Harbor’(Foreign Affairs, May 10, 2016)
https://www.foreignaffairs.com/articles/japan/2016-05-10/abe-should-visit-pearl-harbor