2024年12月22日(日)

世界の記述

2016年10月2日

 ある国防省幹部は、週刊誌「ル・ポワン」の取材に対し、切羽詰まった状況を明かしている。

 「それ(感情論)は理解できるが、フランス的な対応ではない。復讐のためにそう語るのかもしれないが、軍事的決定とは完全に切り離すべき」

 また、憲兵隊のジャンユッグ・マトゥリ中佐は、「疲弊した憲兵隊員や兵士は、職務で十分な警備を維持できなくなっている」と、日刊紙「ラクロワ」で吐露した。

制限される国民の自由

 この他、不法移民やテロリストの警備に当たる国境警察も、レタ・ドゥルジャンス(非常事態宣言)の延長を強いられている。

 スペイン・フランス間の国境警察官は「とにかく全車をコントロールしなくてはならない」と述べ、詳細については明かさない。陸路においては、5km走行するのに2時間を要する大渋滞を引き起こすこともあり、警備強化に賛成の国民も「これでは、時間のロスで仕事にならない」、「旅行の計画も立てられない」などのいら立ちを見せている。

 フィリップ・ドゥセ社会党議員は、テロ対策により、町中のデモ活動や、抗議運動が縮小される見通しを懸念。「身の安全を確保するため、どれだけの自由を断念せざるを得ないのか」ともらした。

 このように、相次ぐテロを受け、政府は警備補強を図ろうとする一方で、国民の自由や日常生活への支障が、日ごとに生じているのも現実のようだ。


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