2023年2月8日(水)

『山旅々』編集者の「山旅のすすめ」

2016年9月23日

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柳原一信 (やなぎはら・かずのぶ)

ウェブマガジン『山旅々(やまたびたび)』編集担当

登山に出かけ、その山に属する町・食・人を知る『山旅』を楽しむ。背景にひそむ歴史や文化を知ることで旅路に奥行きある時間を作ることが好き。趣味は登山以外にトレイルランニングやテンカラ釣り、キャンプとアウトドア全般を楽しみ、遊びのスタイルやアクティビティに関する様々な情報発信している。(ウェブマガジン『山旅々』http://yamatabitabi.com/)

山を横に観察してみる

 横に観察するというのは山単位で景色の違いとその豊かさを見てみようという試みです。

 火山大国日本だから地震もあり温泉もあり……悪いことがあれば良いこともあると毎度のように思うのですが、このように植生が豊かなひとつの原因に火山というのはあると思うんです。火山が噴火すればそこに生きていた植物はリセットされる。その空いた土地に飛んできた種子が宿る。そういう長い歴史の中で日本列島という島国の中に様々な景色を彩ってきた。これもまた日本の山を美しくしている現象のひとつだと思います。

 そして面白いのは地質の違いです。地質学者ではないので詳しい事はここでは省きますが、山を歩いているとひとつの山の中にも様々な地質の違いによって形成される地形の違いを見出すことができます。

 例えば先日南アルプスの北岳に登ってきたのですが、北岳肩という山小屋のある場所までは高山植物を楽しみながら、なだらかな尾根道を歩いていくのですが、肩の小屋に着いて、小屋の背後に目を移すと北岳山頂までの景色が見渡せるのですが、それまでのものとは全く違う様相となるのです。これは明らかに地質がこの肩の小屋から変わっているからで、山頂までの道のりを飽きないものにしてくれる日本の山の面白さに感動するんです。

北岳の肩

 このようにわかり易い地形の違いも面白いですし、なだらかな稜線で時折見ることのできる地質の違いによる斜面の彩りもまた非常に美しいものがあります。

 今まで行った山は数限りなくありますが、ひとつたりとも同じような山というのに出会ったことがありません。奥多摩の山、奥武蔵の山、丹沢の山、北アルプス、南アルプス……こういう山域で考えても様相は異なりますし、奥多摩の山の中でも雲取山・川苔山・鷹ノ巣山……と山単位で見てみても違いを感じることができます。

 いつだったか、登頂を目指そうとする文化は日本ならではのものと聞いたことがあります。海外ではロングトレイルという言葉があるように登頂を目指すのではなく山々を眺めながらひたすらに長いトレイル(山道)を歩いていく、そのような山の楽しみ方があります。

 これは登頂を目指すことの面白さ、いわゆる景色の美しさや植生の違いを楽しめる魅力が日本の山にはあるとも言えるのではないでしょうか。またそれが山々によっても違う。急峻な山もあれば、なだらかな山もある。こんな特殊な自然を楽しめる日本という国を今一度見直してみて、山を楽しむ視点を1つ、2つ加えていただければと思います。

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『山旅々』は登山・山あそびがもっと楽しくなるウェブマガジンです。発信する情報は山でのアクティビティとして、登山、バックカントリー、トレイルランニングに興味のある方々が「より楽しい」「より充実できた」と思えるコンテンツを扱っています。
http://yamatabitabi.com/

 

  
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