2024年12月13日(金)

『山旅々』編集者の「山旅のすすめ」

2016年8月16日

私の旅の楽しみ方

 私の趣味、生活の一部になっているものに登山があります。登山というと多くの方の目的が「登頂」だと思うのですが私の場合はちょっと違います。登山は手段であり目的は旅にあります。

 「旅」という言葉の語源は諸説あるようですが、古くは住居を離れることを「たび」といったようです。今では交通手段も発達していますから、距離感も変わってきたのでしょう。「旅」というと『住む土地を遠く離れて過ごすこと』と考えるのが一般的になりました。

 私にとっての旅は電車に乗り込み、数時間揺られてふと窓越しに普段みかけない景色を臨んだその時から始まります。外に広がる田園風景、遠くにそびえる山々…。何故このような場所に町が出来たのか?ここに住む人々はどのように過ごしているのか?書物やテレビやインターネットで得た知識を引っ張り出し想像しては楽しむのです。

塩の道との出会い

 それは2年前の夏休み。連休を使って私は飯豊山へ向かいました。「いいでやま」と読むこの山域は別名「東北アルプス」と呼ばれ、標高こそ北アルプスには劣りますが、雲上に広がる花々の美しさに魅了され毎年この山に向かう方が多いと聞きます。

 登山口から1時間あまり経った時でしょうか。登山道を歩いているとふとした拍子に突然横から人が現れたのです。思わず「わっ」と声をあげた私に呼応するかのように、先方も「うわっ」と声をあげました。

 私はその時、「あれ?僕は登山道を間違って歩いているのかな?」と思い「すみません」と謝りました。するとその方は「突然現れた私の方が悪かった」というような事を言い頭を下げていました。どこから来たのか問うと、町から来たといいます。どこまで行くのか問うと町まで行くといいます。私は頭がこんがらがり「何の道ですか?」と聞くと「塩の道」と答えるのでした。


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