あまりの寂しさに耐えかねる
今季の中日やオリックスのように最下位に沈み、まったく優勝の望みがなくなった球団の話ではない。優勝に向かって首位を走り、マジックを10に減らして、ミスター赤ヘル・山本浩二が初めて監督として胴上げされようという大詰めを迎えてもなお、スタンドには閑古鳥が鳴いていたのだ。あまりの寂しさに耐えかねてか、球団の営業の一環か、ついにはヒーローインタビューのお立ち台に立った選手までがこう訴えるようになった。
「ファンのみなさん! ぼくたちはいま優勝に向けて一所懸命頑張っています! おかげさまでもうすぐ優勝できそうです! どうかこの市民球場に応援に来てください! この球場まで足を運んでください! みなさんの声援で、ぼくたち選手に勇気を与えてください! よろしくお願いします!」
優等生で知られた小早川毅彦(現評論家)がこう言うのならまだしも、ふだんは毒舌で知られた西田真二(現四国アイランドリーグplus香川監督)までが「市民球場に来てください!」と大声を出しているのにはさすがに驚かされた。そんな四半世紀前を知っている私としては、いまのカープの選手たちは本当に幸せだと思う。毎日、ホームでもアウェーでも大勢のお客さんが来てくれるのだから。
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25年前は優勝しても球場に行かなかったカープファン
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