出産政策を管轄する国家衛生・計画生育委員会主任は「光明日報」紙の取材に対し問題を認めている。教育部は政策変更に伴い費用の安い公立幼稚園やコミュニティに委託した託児所等の設立を進めるとするが、実施はこれからだ。
政策の効果には疑問も
第2の問題は、出産増に対応する医療サービスの不足だ。医師の過重負担などにより中国では小児科医が減少傾向にある。ここ5年で小児科医は10万5000人から10万人に減少、児童千人当たり0.43人と衛生部が目指す同2.06
人から程遠い。医療分野も管轄する国家衛生・計画生育委員会は、第13次5カ年計画(16-20年)中に各省市に児童専門病院を、人口300万人以上の地区級市の総合病院に小児科を設立する計画だが、これにも時間を要する。
第3の問題は、各種福利厚生制度の変更が追いついていないことだ。もともと晩婚カップルへの休暇や補助金の優遇のため設計されていた制度を、2人目の出産にも対応させる必要がある。しかし休暇制度についての現状は、先行する地方で120~180日程度の出産休暇が実施され始めた段階だ。
政府は新政策により新生児が毎年250万人増加し、 50年までに生産年齢人口が累計3000万人増加すると予測するが、前述の問題に加え、社会の意識が「少なく産んで手をかけて育てる」方向に変わっており、ことはそう簡単ではない。人口問題の権威、蔡・中国社会科学院副院長もセミナーで「人口老齢化は今後も加速する可能性がある」と政策の効果に疑問を呈したと伝えられる。
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