2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年9月14日

 ここ1、2カ月、米が核の先制不使用の宣言を検討していることが明らかとなり、同盟国、戦略研究家、不拡散グループの間で議論が盛んになっています。今までのところ、英仏独や日韓が反対の立場を米政府に伝え、また、米政府内部の会議でも、ケリー国務長官、カーター国防長官、モニツ・エネルギー長官が反対の立場を述べたといわれるので、先制不使用をオバマが推進する可能性は低くなっていると見られています。

オバマの政策は「危険」

 しかし、この問題は、わが国にとって極めて重要な安全保障にかかわる事項であり、引き続き米国と緊密な協議を通じて日本の立場を伝えていくことが重要です。既に安倍総理自身が米太平洋軍司令官に伝えるなど日本政府が米側に慎重さを求めている由ですが、それは適当であり正当です。

 多くの同盟国が反対の立場を明らかにしていることは当然のことと思います。戦略問題専門家の間では大多数が反対であるような印象を受けます。オバマの政策は「危険」だといった強い言葉の主張もあります。オバマは2009年4月プラハで「核のない世界」演説を行い、ノーベル賞を受賞しました。本年5月には広島を訪問するなど、核軍縮の問題に大きな関心を持っていることは理解できます。しかし、過去8年、具体的な成果はありませんでした。

 オバマが政権終了まで後数カ月という時点で、このような重要決定をしようとしていることは、政治的に余り適当とは思われません。レガシー作りと言われても仕方がないでしょう。

  
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