そんな中、9月に米国政府が初めて自動運転車の開発、運用指針を発表した。メーカー側に技術情報や運転情報など様々なデータを政府に提出することが義務付けられ、そのまま受け入れられるかは不透明だが、これをきっかけに自動運転時代にあったルール作りが進むことが期待される。
最後のポイントが「社会」の受容だ。今年3月に、ミシガン大学が自動車を運転する人を対象に行った調査では、レベル4、つまり「完全な自動運転の車に乗りたい」と答えた人の割合は、わずか16%にとどまった。一方で、「引き続き自分で運転をしたい」と答えた人の割合は46%にも上った。つまり技術開発が急速に進む一方で、消費者の側はそれを受け入れる準備はできていないと言える。
私自身もオートパイロット機能がついたTeslaに乗っているが、初めてオートパイロットを体験したとき、高速道路でオートパイロットモードに切り替えると、カーブでも車線の真ん中を自動的にキープし、前の車との車間を一定にキープするが、高速で走る車がどのくらい正確に自動でハンドルを切ってくれるのかが信用できず、隣のレーンの車に徐々に近づいているような気がして、手に汗を握ることが何度もあった。
今はオートパイロットの力量が理解できたためこうしたことはなくなったが、自動運転に馴れるにはある程度の時間が必要であることを体感した。
やはり自動運転車というのは人類にとっては「未知の乗り物」なのだ。自分が運転をせず、人工知能が運転してくれるというのは、頭では理解をしても、実際に乗ってみると受け入れるのはなかなか難しい。
自動運転の技術開発に取り組む事業者にとって、「自分が運転する車」と100年間共存してきた社会にどう受容してもらうのかという点は大きなポイントとなりそうだ。