世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年11月8日

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 コロンビアのサントス大統領は、キューバにおける左翼ゲリラFARCとの4年にわたる交渉の結果、和平合意にこぎつけました。しかし、この合意を国民投票にかけたところ、僅差で否認されました。今後、和平がどうなるのか、不透明な状況になっています。

 FARCと再交渉することになるでしょうが、和平合意への不満は、FARCに対し甘すぎる、刑事責任の追及が不十分であるということでしたから、今後の再交渉はFARCにさらなる譲歩を迫るものにならざるを得ず、うまくいくかどうか、わかりません。

ノーベル平和賞

 今年のノーベル平和賞は、この和平合意が国民投票で否決されたにもかかわらず、サントス大統領に授与されました。約50年も続き、20万人以上の犠牲者が出ている内戦の終結が国際的に強く望まれていると、ノーベル賞委員会が判断したことの証左でしょう。

 サントス大統領は、停戦合意は依然有効で、残る2年の任期で和平実現に努力すると言っています。FARC側も停戦の有効性を認めています。従って再交渉がまとまる可能性は十分にあります。FARCは一時2万人の兵士を擁していましたが、今は6000~7000人に勢力が減っています。和平合意への反対を率いたウリベ前大統領は、対FARC強硬策で、FARC勢力の減少に成果を上げました。今回の和平合意は、ウリベの成果の上にサントスの努力が実ったものとして、ウリベ前大統領も反対論を緩和することが望まれます。

 FARCも平和的な政治勢力としての政治参加への道が開かれることに希望を持っています。
この論説が指摘する経済への悪影響については、和平が実現できれば軍事支出も減らせるので、財政的にも楽になります。

 この論説は世論調査が間違うことに、Brexitの例も引きつつ警鐘を鳴らしています。しかし、そんなことは大きな問題ではありません。Brexitのケースも今回のコロンビア和平合意のケースも、国民投票にかけるべき問題であったか否かが大きな問題です。国民に決定を丸投げしたところに問題があります。一見民主的手続きの尊重のように見えますが、国民投票の結果は合理的であるより、感情や熱狂やデマゴギーに左右されることも多いです。どういう場合に国民投票をするかはよく考えられるべき問題です。サントス大統領は国民の支持を得て、和平を進めたいと考えたのでしょうが、自分の責任で国民に良いと思うことを実行することにした方がよかったと思います。

  
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