実際の世論調査では、最近のプライベートサーバーを使ったメール問題が蒸し返されている事態にも関わらず、10月30日現在でヒラリー45%、トランプ40%と5ポイントの差がついている。米国内の多くの有権者はメール問題について「選挙戦の結果を左右するような大問題には発展しない」と考えている。もちろんトランプ氏は「大統領に選ばれた後で刑事告訴される可能性がある人物が選挙戦に出てもいいのか。選挙そのものをキャンセルし、国民は私を選ぶべきだ」と盛んに訴えてはいるが。
MoglAの予測は今回も正しいのか。結果は今週出るが、レイ氏は「もしトランプが負ければ、インターネットによるデータ収集、分析というAIの判断基準そのものが否定されることになる」と語る。ネット上でトランプに関心を示した人がそもそも米国選挙権がない、必ず選挙に行くとは限らない、など様々な要素はある。しかしこれまで正しく予測を続けたAIにとっても、トランプ氏というのは「大きな壁」のようだ。
型破りな発言もそうだし、ネットを駆使した過激な選挙戦など、今回の米大統領選挙は過去に例のないものとなっている。しかしある意味でトランプ氏は人々の本音を吐き出させる機会となっているのかもしれない。
トランプを擁護するシリコンバレーのベンチャー投資家
シリコンバレーのベンチャー投資家、ピーター・シール氏(イーロン・マスク氏と共にペイパルを創設したことでも有名だ)は、トランプ氏の選挙戦への巨額の資金援助をしていることで批判にさらされているが、10月31日にこれに反論する形で「ドナルド・トランプが象徴しているものはクレイジーではないし、それはいつか消えてしまうものでもない」と発言した。「アメリカはノーマルな国ではない。ノーマルな国は500億ドルもの貿易赤字を抱えていないし、政府はきちんと機能している。トランプが控えめな人間とはとても言えないが、彼は政府が国民に対して無策であることへの怒りを表現している」と説明する。
危険な変化か退屈な継続か、と言われる今年の大統領選挙、AIによる予言も加わってますますクライマックスへ向けて盛り上がっている。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。