2024年11月22日(金)

From LA

2016年11月19日

 一方で自動運転にとって障壁となるのが、4つのS、すなわちサイズ、スピード、セキュリティ、スケーラビリティである。サイズとはもちろんデータサイズで、洪水と表される膨大な量のデータ処理をいかに行うか。スピードは効率的なワークフローに必要なネットワークスピード、そしてセキュリティはプライバシーの防衛、そしてスケーラビリティとはグローバル規模でのデータセンターの構築を指す。

インテルのシュミレーター
 

 現在いくつかのメーカーとネットワークプロバイダーが組み、コネクテッド・カーの実験を行なっている。例えばトヨタとNTTがその一例だ。しかし、こうしたメーカー独自の試みでは、トヨタ同士の車はコネクトできても他のメーカーの車とのコミュニケーションに齟齬が生じる可能性もある。

 これを解決するためには、コネクト技術のスタンダード化もしくは各メーカーの共同作業による相互間のコミュニケーションを可能とする技術が必要となる。ここで求められるのはオープンソースのプラットホームだ。

2500億円を投資

 インテルはこの目的のため、「未来の車」に2億5000万ドルを今後数年間で投資し、そこから得られたデータを他社とシェアして自動運転、コネクトテッド・カーの将来に役立てる予定だという。

 もちろんそこにはIoTも含まれるが、クラザニック氏が提唱するのは「オープンIoT」だ。特定の自動車メーカーと家電メーカーがタッグを組んだ場合、もしユーザーが他のメーカーの車に乗り換えると家電との連携ができなくなる、というのでは意味がない。どんな車に乗り、どの家電メーカーの製品を使っても相互のコミュニケーションがスムーズに出来るような共同作業が必要となる、とクラザニック氏は主張する。必要なのは「ビジョンをシェアすること」なのだ。

 もちろんその中で、各メーカーは自社の持ち味を出して他社との区別化を図ることは出来る。しかし共通のプラットホームを持つことは今後重要な課題となる。データ部分を受け持つインテルにとっても、全ての車、家電、デバイスなどがスムーズにつながる未来が望ましい。「オイル」であるインテルが主導することで、コネクテッド・カーの未来は大きく前進するかもしれない。

  
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