2024年7月18日(木)

Wedge REPORT

2016年11月27日

⑤ きょうだい片方が熱を出したら元気なほうは預かってくれるのか

 兄弟姉妹で同じ保育園または違う保育園に通う場合、誰か1人だけ風邪をひき熱を出す場合も少なくない。その時、子どもの看護のために親が仕事を休むと、元気な子どもも預かってはもらえないケースがある。隣近所に頼る人もなく核家族化したなかで、親ひとりが家のなかで熱があって動けない子と元気いっぱいの子を同時にみるのは困難。元気な子にとっては、じっと家にいるしかなく、保育園で過ごしたほうが幸せな場合もある。また、元気な子を連れての受診は病院で不必要に感染する可能性もあり、連れていくべきではないと考えるのが一般的だと筆者は考えるが、運用面はまちまちだ。

 厚生労働省の保育課に尋ねると「国で特に通知などを出して決めているわけではない。自治体が地域の実情に応じて保育園の利用方法を決めている。子どもの最善の利益を考えて運用してほしい」としている。

 保育園を運営する根拠法である児童福祉法では、その第1章で、全ての児童について「適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られること」をうたい、第2条で「児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること」を、全ての国民に求めている。そもそも、入園申請の段階で、保育の必要性のなかには、親の就労はもちろん、家族の看護なども含まれることから、体調の悪い病気の子を看護するため、元気な子を預けるというのは理論上、禁じられるものではないはず。

 保育園の運営が硬直的だと、他にも子どもにとって冷たい保育が行われる。例えばサービス業で土曜が出勤で水曜が休みという保護者の子がいたとする。その子は、絶対に水曜は登園してはいけなくなる。たとえ水曜に遠足などの行事や運動会の練習があっても登園させてもらえないこともある。母親が病気で辛い時でも子どもは登園させられず、親子にとって冷たい保育園という存在に。親を追い込み、それが虐待につながることもある。このケースについても厚労省では「実情に応じて、子どもの最善の利益を考えて」としている。

 前述の忘れ物についての扱いも同様、児童福祉法の第2条の3項で「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」とされていることから、本来はフレキシブルな対応が求められるのではないだろうか。

⑥ 保育士の待遇は良いか

 私立と公立の保育士の賃金格差は大きい。きちんとした待遇でなければ離職が多く、入れ替わりが激しくなる。チームで働く保育は当然、良いものとならなくなる。

 見学の際、都内であれば「キャリアアップ補助金」を受けている保育園は、保護者の目に触れやすい場所に保育園の決算書を掲示していなければならないルールがある。決算書には、人件費比率や平均勤続年数も明記されている。善良な経営をしていれば人件費比率は約70%と言われている保育業界のなかで、著しくそれを下回っていれば“ブラック保育園”である可能性も高まる。保育士の人件費と園長・事務員の人件費が分かれて決算書に示されているため、保育士ひとり当たりの年収や園長の推定年収も予測がつく。

 私立の新規開設保育園ほど若手が多い。5~6年目で一人前と言われてきた保育業界で、現在は人手不足からクラスリーダーが経験1~3年目ということも珍しくない。ここで頼りになるのが、パートや非常勤で働くベテランの保育士や子育て経験者だが、「保育補助者」として雇われるため、経験値を無視され、用務員のような扱いを受けて、やりがいがなくなり定着しない問題もある。

 一方、公立の場合は地方公務員のため、正規雇用であれば雇用も収入も安定しているが、非常勤の保育士も多いことが要注意だ。正規雇用と比べ非常勤は賃金が半分くらいのケースもあるが、にもかかわらず担任を任されていることもある。地方によっては、園長と主任以外は全て非常勤というケースもあり、長くは続かない。仮に良い園長、良い保育士がいても、地方公務員は2~3年で異動ということもあるため、人事によって保育園の雰囲気がガラリと変わってしまう。


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