2024年7月19日(金)

Wedge REPORT

2016年11月27日

⑦ 父母会や労働組合があるか

 保育園と協力してバザーや地域活動に力を入れている父母会のある場合や、父母会結成を禁じている保育園がある。私立のなかには、保育園の経営側、保育士、労働組合、父母会が同じテーブルで保育園の運営方針や保育士の労働条件について話し合うところもあり、協力し合う体制が整っている傾向がある。父母会がイベントを開催するなどしていると、父母間の交流が図られ、育児の悩みを相談し合い、家族同士が仲良くなって付き合いが長く続き「同志」に恵まれることが多い。

 保育業界の労働組合の組織率は高くはないが、労組があれば保育士の労働条件が改善されているケースが多く、「良い保育をしたいから労働者としての権利を勝ち取る」という意識の高い保育士も存在し、離職が減る傾向がある。

その他のチェック項目

▽保護者による自分の子どもの写真撮影が禁止されているかどうか

「個人情報保護法があるから」という誤解のもとで禁じられていることがあるが、そもそも保護者は法の対象外。本来、私的に自分の子どもを撮ることは原則、法的にも禁止されるものではない

▽英語やリトミックばかりを強調している

 外部講師に頼っていて、普段の保育の質が低いと本末転倒。

▽泣いている子を放置していないか

 人手が足りない、保育士の技量が足りないと放置されていることも。

▽トイレトレーニングの時期

 人手が足りないと2歳児クラスまでトイレへの誘導をしないことも。

▽食事の様子

 食育をうたっていても静まり返って、餌やり状態のことも。

▽園長が引きこもっていないか

 職員室から出てこない園長だと、保護者と信頼関係が築けずトラブルが多い。保育園の建設ラッシュで園長不足の問題もあり、資質を問えない地域もある。

▽地域との交流を大事にしているか

 保育園の友達関係が小学校に続く。そこで生活し成長していく子どもを地域が見守ってくれるかどうかは大きい。園の見学や給食体験など地域に開放しているか。

▽保護者からの意見箱などの設置があり回答が示されているか

 親にとって子どもは人質。何か苦情や気づいたことがあっても面と向かっていえない、言う暇がない保護者は少なくない。そうした保護者と真摯に向き合う姿勢があるか。

▽風邪薬など投薬してもらえるか

「保育所保育指針」によって、保育園で薬を与える場合は、医師の指示に基づいた薬に限定されている。

 以上のチェック項目は、あくまで筆者の取材経験から見た「良い保育」が行われる前提と思われる点であるため、まさに地域の実情や個々の考え方、状況にもよるだろう。かつて保育が「措置制度」に置かれていたことで保育園や行政側に「保育に欠ける子を預かってやっている」という意識が強く残っているケースがあると、保護者の働き方や生活の実情に応じられなくなり、しわ寄せは子どもにくる。それでは本末転倒だ。措置時代は終わり、「保育の必要性」が問われるようになった。さらに、2000年以降の株式会社の参入で保育業界は激変。社会環境も保護者の就労環境も変わった今、改めて現代の親子にとって求められる保育園の運営を考える必要があり、保育業界はターニングポイントにきている。本稿で挙げたチェック項目を実現している例が少なかったとしても、「子どもの最善の利益」を改めて考え、保護者と保育園や行政側が意見を出し合うことで改善につなげていくことができるのではないだろうか。

  
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