2025年3月23日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年3月10日

 2月18日付けニューヨーク・タイムズ紙は同日にサウジアラビアで行われた米露外相会談についての解説記事を掲載、ロシア・ウクライナ戦争の終結に向けた動きがトランプの流儀で始動していることを伝えている。概要は次の通り。

ウクライナのゼレンスキー大統領と米国のトランプ米大統領との会談は「破談」に終わった(ロイター/アフロ)

 米露両国は、18日に行われた外相会談において、ウクライナにおける戦争終結、投資、関係の正常化に共に取り組むことで合意し、両国関係のリセットに動き出した。米国は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻のため、3年にわたってロシアを孤立させようとしてきたが、今回の会談は、両国間の驚くべき親密さを示すものとなった。

 4時間以上にわたった会談の後、ルビオ国務長官は、米露両国がウクライナの平和的解決と共に、ロシアとパートナーシップを組む素晴らしい機会を探求していくことに取り組んで行くことで合意したと語った。「我々は、お互いの考えに耳を傾けた。米国側が我々の立場をよりよく理解するようになったと信じる理由がある」とラブロフ外相は語った。

 この会談は、この3年間に行われた米露のやりとりの中で、最も広範にわたる協議であり、数世代の間における欧州での最も破壊的な戦争を引き起こしたことでロシアに罰を加えようとした西側の努力を放棄しようとするトランプ政権の方向転換の最新の事例である。バイデン政権の対露政策は、制裁、孤立、ウクライナへの武器供与によって特徴付けられるものであったが、トランプはそうしたバイデン政権のアプローチをひっくり返そうとしている。

 米露外相会談は、トランプ大統領としては、ロシアに圧力を加えるというよりは、ロシアと協働することによって戦争を終わらそうとしていることを示している。それは、プーチンの要求の多くを成就させることに繋がりそうなアプローチであり、トランプは、欧州の同盟国の懸念を無視する考えである。

 ロシアは、18日の会談を通じて、米国の石油会社などが、再度ロシアでビジネスを行うことで数千億ドル規模の利益を得るべく列を作っていると述べてトランプ大統領の金銭的利益や天然資源への関心に応えようとしていた。

 ルビオ国務長官は外相会談の後、報道陣に対して、今後の米露両国の三段階の取り組みについて語った。第一に、両国は近年における双方の制限措置の応酬のため、現在は、枢要なスタッフのみで運営している双方の大使館への制約を取り除くべく協議を行う。第二に、両国は、ウクライナにおける戦争の終結の姿のパラメーターについて討議する。「それに際しては、ウクライナや欧州などのパートナーとも協議するが、究極的には、そうした努力においてロシア側が不可欠である」とルビオ国務長官は述べた。第三に、米国とロシアは、地政学的分野とビジネスの双方で新たなパートナーシップを模索する。


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