欧州においても、ウクライナにおいても、18日の米露外相会談は、混乱と懸念を引き起こした。ルビオ国務長官は、この会談は、予備的な性格のものであると述べたが、欧州においては、トランプのロシアへのアプローチは米国の同盟国との調整がなされていないことに対して広範な批判が存在する。
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ゼレンスキーの足元見るトランプ
この解説記事は、2月12日のトランプ・プーチン電話会談に引き続いて行われた2月18日の米露外相会談の模様を伝えるものである。この外相会談後も、米ウクライナ首脳会談での激しい口論、米国による対ウクライナ軍事支援の一時停止を含め、事態はめまぐるしく動いている。このところのトランプ政権の動きは、国際秩序のあり方をひっくり返す含意がある。
トランプにとって、この戦争の終結に向けての意思と決意は大きなもののようである。大統領選挙キャンペーン中の公約(「24時間以内」は、就任直前に「6カ月はほしい」に修正したが)でもあり、政権のレガシー(成果、遺産)としても重視しているであろう。
トランプの立ち位置については、多くの報道にあるように、「ゼレンスキーは選挙なき独裁者」「(ウクライナは)戦争を始めるべきでなかった」「(プーチンが望めば)ウクライナ全土を手に入れられる」といった発言を見れば、トランプがどちらに親近感を感じているのかは明らかであろう。
そうした立場は米国の国連総会、安保理の決議への対応にも現れている。トランプ政権は、ロシアの言い分を大幅に受け入れたところから戦争終結のプランを考えているようである。
こうしたトランプの姿勢に、欧州は衝撃を受け、米国内でも批判の声が挙がった。このまま事態が推移するかは分からないが、仮に米露のペースで戦争終結のプランが策定された時、ウクライナはどうするか。
受け入れれば、国土の実質的な喪失を認め、将来に再侵略を受ける可能性を抱え込むことになる。拒否すれば、米国からの武器支援のみならず、財政支援も止まり、戦争の継続も国政の運営も大きな困難に直面することとなる。