2024年11月22日(金)

ビジネススキルを活かして楽しむ脱力系子育てのススメ

2016年12月13日

声かけの効果を高める3つのテクニック

 さて、子どもが何らかの体験をしたときに声をかけていくのですが、さらに効果を高めるテクニックがあります。詳しくは拙著『小川式声かけメソッド』(宝島社刊)を参照いただきたいのですが、ここでは3つの技をご紹介しましょう。

テクニック1
「場面やイメージを思い起こさせるような問いかけをする」

 たとえばお子さんが、今日学校であったことを話してくれている時に、「どんな顔で言ったの?」「周りのお友達はどんな様子だったの?」と、話がふくらむ問いかけをします。具体的なできごと、やりとりの内容、友達の表情、教室の雰囲気、自分の気持ちの動き……。そのときに起こっていたことの細部を思い起こせるように、具体的な声かけをします。目に映ること、耳に聞こえること、肌に伝わってくる感覚、それぞれをバランスよく問いかけられると理想的です。
 このとき、親自身も場面を思い浮かべながら子どもの話を聞くようにすると、自然と問いかけも具体的なものになっていきます。具体的な声かけをされることで、子どもは自分の体験の細部を振り返り追体験するため、発見のチャンスが膨らみます。

テクニック2
子どもの話した内容を、親側が受け止めた意味合いで言い直してから返してあげる

 校庭で友達と遊んでいたら、その様子を見ていた子が急に怒り出して教室に帰っていってしまった。みんな何が起きたのかよく分からずに、「なんだあいつ変なの」と困ってしまった。という話を子どもがしてくれた時に、「もしかしたらその子は、みんなと一緒にあそびたかったのに、上手く言い出せなくて、もどかしい気持ちと寂しい気持ちで心の中がいっぱいになったのかもしれないね」と、大人の経験から考えられることを返してあげる。
 また、野菜を食べた触感を「シャクッて感じ」と子どもが表現した時、「みずみずしかったのね」と言葉を言いかえて返してあげる、といったことです。子どもにとっては自分が体験したことに、大人の言葉が返ってくることで、気づかなかった見方、知らなかった言葉と自分の感覚とが結びつきますから、新たな経験を手に入れることとなります。

テクニック3
ほめてあげる

 どんな小さなことでも、子どもの行動や発言を認めること、ほめること。これも声かけの重要なテクニックです。「よかったね」「すごいじゃないか」「そのとおり!」「さすが!」「えらいね」といった言葉を、どんどん入れて会話しましょう。自分の存在が肯定されていることを実感できるため、子どもはうれしくて、もっともっと話しはじめます。自分が出会っている事がらに関心を寄せるようになります。
 また、子どもを直接ほめる言葉でなくても、「ありがとう」「お父さん、嬉しいな」「楽しいね」といった言葉も、「お父さんが喜んでいる」=「自分に好感を持ってくれている」という気持ちを強くします。自尊感情が育つことで新しい体験への積極性が生まれ、自分の感じ方や考え方に自信を持って、表現してみようという意欲につながります。

これだけは避けたいNGフレーズ

 逆に、これだけはやらないで!という声かけのNGフレーズもあります。「子どもをしっかりと育てなければ」と意気込んでいる人ほど、わが子に投げかけがちな言葉たちです。順に見ていきましょう。

×答えを押し付ける
「それはいいから、こっちをやりなさい」「答えは〇〇〇でしょう」
×感覚・リズムを押し付ける
「早く答えて」「まだ思いつかないの?」「もっとはっきり答えて」
×切り捨てる
「そんなのどっちでもいいだろう」「さあ?知らないな」
×ただ否定する
「それじゃダメだな」「そんなんじゃ分からないよ」
×けなす・ばかにする・責める
「どうしてこんなことも分からないかな」
×話題がコロコロ変わる
「〇〇は終わった?あ、それよりも××はどうなった?」

 こうしたフレーズだけを取り出すと、「こういう声かけはしたくないな」と感じる方が大半です。自分の頭で考え、自分の心と感覚で感じ、自分の意志と責任で行動でき、仲間と助け合うことが出来る「一人前の大人」に育っていく助けには、なりそうにない言葉です。


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