2024年4月17日(水)

この熱き人々

2016年12月20日

ストーリーを考え曲を作るトモコさん

 「私はどっちかというと引きこもるほうで、人と会ったり話したりするのが得意じゃないんです。社交面はワカバに任せてるんだけど、再生回数が1億回を超えた6月頃から取材が多くなって。ラジオや商業施設でのトークショーとか、初めてのことばかりでものすごく緊張しちゃって」とトモコ。

 ネットに作品を投稿するのとは全く違う経験の嵐に見舞われたことに、ワカバも「緊張した」と声をそろえるが、もう勘弁してほしいというため息交じりの姉に対して、緊張状況や緊張している自分を楽しんでいるような妹。同じ「緊張」という言葉でも漂ってくる色合いが違う。ふたりが発している雰囲気が違う。絵と言葉。動画と音楽。それぞれが才能を発揮している分野が違う。ユニット名の「東京ハイジ」も、東京という都会とアルプスの少女ハイジという異質なものの組み合わせ。メディアへの露出が増えて色違いのベレー帽を用意したが、トモコはどこかに忘れてきて紛失。だからこの日は帽子も違う。

 「青森から大学入学のために東京に出てきた時には、東北の言葉にコンプレックスがあって、1カ月ぐらいだれとも会わないで、自分の声をテープにとって標準語を懸命に練習して、完璧になってからデビューしました」とトモコ。

 「姉は完璧主義者ですから。妹の私にとっては絶対的な存在で、ハイしか言えないですね」とワカバ。

 「私は無から何かを生み出すことができないけれど、妹はイメージが次々とあふれている。でも、何か整理されていないでとっちらかってる感じかな。きっかけは、いつも妹からですね」

 子どものしつけの動画の話も、妹のワカバが持ってきた話だったという。

 「私が子ども向けテレビ番組の『ポンキッキーズ』や『えいごリアン』などの仕事をしていた関係で、ファミリー向けポータルサイトで子どものしつけに役立つような動画を作れるかと聞かれたんですね。姉が音楽できるから一緒にやってみようかなと思って、引き受けたんです」

 その頃、ワカバにはすでにふたりの子どもがいたが、トモコのほうにはまだ子どもはいなかった。


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