したたか者の流儀

2016年12月22日

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訴訟が起こる可能性も排除できない

 クリスティーヌ・ラガルド専務理事の場合、既に現職でもあり、有罪とはいえ刑罰がないので、当面は続投すると思われるが、居心地の悪い話となる。国家財産を4億ユーロも毀損したことになり、訴訟が起こる可能性も排除できない。しかし、ミッテランが大統領7年の任期を2回全うし退任したあとに、既に15年もつきあっていた前立腺癌の主治医に、治療を止めたらどうなるか聞いたといわれる。医師の答えは余命数週間だといったとされ、クリスマスは我が家で、正月は小さな娘と共に過ごしたあと蝋燭が消えるようになくなったようだ。治療を停止したためと想像される。

 既に、ペシネー事件(フランスの大手非鉄会社、その後解体)は、盟友のベレゴボワ首相の自殺で幕引きとなっていたが、赤い国営銀行といわれたクレディ・リヨネ銀行の乱脈ビジネスの後始末という頭の痛い問題を抱えていたと想像される。

 アディダス株事件はなぜ裁判にしなかったのか、すべてことには理由がある。裁判の結果、たとえ怪しいビジネスマンでも、必要があれば4億ユーロ払えばいいし義務がなければ払う必要はないのだ。そこを調停で済ますこと自体危うさを抱えている。

 ラガルドには、何らかの力学がはたらき調停を選んだと想像するが、その理由については語ることはできないだろう。

 元シンクロナイズドスイミングの選手であり、米国系の弁護士事務所の出身で英語もきわめて達者な女性だ。日本の第一勧業銀行がフランスに進出したときその許認可取得を担当したそうだ。以来、心からの親日家でもある。

 彼女の今後は注目される。

 クレディ・リヨネ銀行は、ペシネー同様、既に存在しない。消されたのか消えたのかわからない。

  
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