2024年11月22日(金)

人事は企業を変えられる

2017年1月13日

 社外取締役を選ぶ際にはまず、その会社が目指す目標と、それにどう取り組むかを考える。それに対して、会社、何より経営陣に足りない能力や経験、または強化したい部分は何かを把握する。その上で、それらをもたらしてくれる社外取締役を選ぶ必要がある。期待していることを、社外取締役に明確に伝えることも大切だ。

 当然だが取締役会は、中長期的に株主と社員、そしてステークホルダーの期待に応える会社運営をすべきだ。社外取締役に「監視・監督」だけを重視して仕事をしてもらえれば企業価値が上がるのならいいが、そんな〝恵まれた〟会社はそう多くはないだろう。

 人事としては経営陣が社外取締役候補を選ぶ際に、候補者リストを手渡せるようにしておきたい。一般論で言えば、社外取締役には①経営を監視、監督できる、②会社に新たな価値をもたらす、③多様な業界の知識を備えているという3つの能力が求められる。

 そこで人事は経営陣に経営方針を確認しつつ、常に社外の人材と接触し、人材の引き出しを多くしておくことが望ましい。机に座っているのではなく、外部のセミナーや講演会、技術の展示会に出て、有能な人材と接しておくことをおすすめする。

 私自身、社外取締役をつとめているが、求められている「役割」を果たそうと必死だ。ビジネスの基本は他者との差異化で、経営陣はそれを実現しようとしている。私を含め、社外取締役はその気持ちを理解しつつ、自身が課題だと思うことを経営陣とは違う視点で提示しなければならない。執行者である経営陣に課題を自分のものとして捉えてもらうことが肝心だ。

 取締役会の理想は、開催されるたびに会社の競争力が増すことだ。経営陣は社外取締役を活用して、外部の価値観を取り入れ、既存の概念にとらわれている旧態依然とした組織や考え方を打破して欲しい。コンプライアンスの向上やガバナンスを強化することも社外取締役の大切な役割だが、会社経営を理解し、企業価値の向上に貢献できる人材こそ、社外取締役として求められている。


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