──では、現政権の民主党に与えられた課題とは何でしょうか?
片桐氏:僕は民主党を責められないと思う。小泉さんが中途半端にしちゃった以上、政治家はそこにアメがあればしゃぶります。ただ、今の民主党の幹部に民営化をやり直す度胸があるかどうかといえば、僕は正直期待できないと思う。度胸というのは、自分の投票基盤を切り崩せるかっていうことです。小泉さんは(表向きかもしれないが、)それをやろうとして、結局、道路族に抵抗されて骨抜きになったわけですね。それほど道路というのは利権構造が強いんですよ。自治体が喜ぶ、(ゼネコン等の)業者も喜ぶ、その見返りとして業者からの政治資金も期待できるし、票も期待できるわけです。それを切るというのは相当に勇気の要ることですよね。だから、僕は国会議員は全員道路族だと思ってます。
基本的に道路はみんなが喜ぶんです。お金の始末さえつけばですけどね。その道路に費やしたお金を誰が面倒を見るかが問題なんですが、ここを償還主義で45年も先だって言ってしまえば、こんなに楽なことはないですよ。最後は国民にツケが回るといっても、国民だって今から45年後に現役でいる人はほとんどいないわけです。だから今、20歳とか30歳の人たちが、「なんで俺たちのところにツケを回そうとするんだ」って本当に怒り狂うべきだと僕は思います。
片桐幸雄〔かたぎり・さちお〕氏
元道路関係四公団民営化推進委員会事務局次長。
1948年生まれ。73年に日本道路公団に入社。主に料金設定や経営企画を担当し、2000年に総務部次長。02年から民営化推進委員会に入る。
※関連記事 : 高速無料化は愚策 (2009年9月29日)
「WEDGE」5月号に片桐幸雄氏が執筆された記事が掲載されています。
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「税金投入へ逆回転した道路政策 偽りの民営化の再改革を」
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