世界の記述

2017年1月20日

»著者プロフィール
閉じる

大西康雄 (おおにし・やすお)

科学技術振興機構・中国総合研究・さくらサイエンスセンター・特任フェロー

1977年早稲田大学政治経済学部卒、アジア経済研究所入所。駐中国日本大使館専門調査員、中国社会科学院工業経済研究所客員研究員、アジア経済研究所地域研究センター長、JETRO上海センター所長などを歴任。

 議論になるのは、6.5%という要求水準をどうやって達成するかである。このところの経済運営では、投資や消費の刺激により成長率を下支えする手法が多用されてきた。16年に地方政府がインフラ投資に充てた特別建設基金は1兆元(約17兆円)、消費刺激のために自動車購入にかかわる減税措置も延長された。これらの措置により第1~3四半期のGDPは6.7%を維持したともいえる。しかし、こうした措置は政府の掲げる構造改革と逆行する作用を持つ。

 中国社会科学院副院長の蔡昉は有力誌『財経』の講演会で、上記6.2%を「最低ライン」と呼び、改革措置の推進による「改革メリット」を上乗せすれば6.7%成長が可能で、これが「最高ライン」との議論を展開している。

 最重視するのが全要素生産性の向上で、たとえば都市化を推進し、労働力の農業から他産業への移動や教育水準向上を図れば生産性向上が実現可能と指摘する。この議論のポイントは、成長率向上と相反すると見なされがちな改革措置が成長率向上に資すると強調していることだ。今後の経済運営を考える上で重要な議論として注目したい。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る