2022年12月4日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年3月3日

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 これは、フランス大統領選挙に関する英国人の観察です。「もしかすると」と強調してはいますが、ポピュリズムの潮流を逆転することになるかもしれないと書いています。確かにそうかもしれません。

 これまで、フィヨンがエリゼに最も近い大本命と見られて来ました。しかし、最近になってマクロンが急速に追い上げて来ました。彼は、経済の近代化とEU支持を公言してはばからない、右でも左でもない39歳の候補です。フィヨンも警戒感を抱いていると報じられていました。最近の世論調査では、第一回の投票ではルペンが首位(得票率25%)、その後をフィヨン(22%)とマクロン(21%)が僅差で争っています。決選投票では、フィヨンでも、マクロンでも、ルペンに勝つ見通しです。

ロシアの介入

 1月25日付の週刊紙「カナール・アンシェネ」が、フィヨンが議員時代に妻ペネロプに勤務実態がないにもかかわらず議会予算から給与を支払わせていたという疑惑を報道したことから、俄然様相がおかしくなりました。フィヨンは「これは左翼の陰謀だ」といっているらしいですが、捜査が自身に及べば候補者を降りるといっています。明確なことはよく分かりませんが、もはや選挙戦を戦える状況にないのではないかと思われます。選挙はまだ先ですが、そうなれば、マクロンがエリゼに最も近くなります。蛇足でありますが、フィヨンはロシアにとって悪くないはずですから、まさかこれはルペンを勝たせるためのロシアの介入ではないのでしょう。

 この論説がポピュリズムの潮流の逆転というのは、フィヨンの勝利、フィヨンが脱落する場合はマクロンの勝利を意味しているでしょう。先走っていえば、マクロンの勝利はフランスにとってもEUにとっても良いことでしょう。1月31日付の加盟国首脳に宛てた書簡でEUのトゥスク大統領は「我々の歴史上はじめて、多くの国が反欧州、よくて欧州懐疑的になっている、特に米国の政権交代がEUを困難な状況に置いている」と非常な警戒感を表明しています。そういう時にEUへの支持とEUにおけるリーダーシップを唱えるフランスの首脳を得ることは貴重というべきでしょう。

  
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