家での洗濯、そしてクリーニングをレポートしてきた。次は、コインランドリー。ランドリーというと今までの主流はいわゆる郊外型。クルマで乗り付けて洗濯物をどっさり洗い、隣のディスカウントストアで買い物して、乾かして帰る。それより前はどちらかというと都市中心。銭湯の横にあり、風呂に入っている間に、洗濯をしてしまう感じだった。銭湯が少なくなるとともに、都市型は少なくなり、郊外型へと変わってきたのだ。しかし最近、新しいサービスとともに、都市型のコインランドリーが活気を見せている。今回は、新しい都市型コインランドリーをレポートしながら、都市での洗濯を考えて見たい。
今回の取材先は、東京都台東区千束二丁目にあるecoLux Laundry 龍西店。JR上野駅から歩いて2kmの立地。山手線の中側を都心とすると、その東側に当たり、江戸情緒を今に残す由緒正しき下町。町会もしっかりしているし、向こう三軒両隣とも仲良くやる土地柄だ。人口密集地域であるのは、今も昔も変わらない。
行ってみてビックリしたのは、その佇まい。古式ゆかしいビルの1Fを改造してのオープン。ビルが古いのと看板がかなり大きいため、どちらかというとちぐはぐな印象を受ける。
聞いてみると、副業を始めるに当たり、正業で使っているビルの1Fを使ったそうだ。正業は銀器の扱い。その1Fは事務所とショールームに使っていたのだが、ビジネスに活用することが少ないので、副業としてランドリーを始めることにしたという。
慣れればさほどでもないのかもしれないが、「飯森銀光」という昭和の看板と、「ecoLux Laundry」といういかにも都会的というか、ヨーロッパ的というか、それが並んでいるのは独特の雰囲気。金閣寺を始めて見たような、ある種キッチュな感じを覚えたのは事実だ。
スイスの山小屋をイメージ 〜洗濯&居心地の良さの視覚化〜
ecoLux Laundryは、エレクトロラックスが進めるランドリービジネス。オーナーを募り、そのランドリーを経営してもらうところは、コンビニエンスストアのフランチャイズ制にある種似ている。しかしオーナーの選択自由度がかなり違う。
ecoLux Laundry 龍西店のテーマは『山小屋』。オーナー夫妻がヨーロッパ旅行をした、スイスの名峰マッターホルンの麓村として有名なツェルマット(スイスの有名な山村。リピーター観光客が多いことで有名)での思い出と、「アルプスの少女ハイジ」の山小屋のイメージが詰め込まれている。床面、壁面、天井の色、素材もオーナーの趣味。また、小さいながらも、待ちカウンターは2つ欲しいとし、小さいながら2つ設けてある。カウンターを照らす照明の高さなどにも凝ったそうだ。しばらくすると、調和の取れた茶室にいるような気になった。それ位、いいマッチングだ。
コンビニは均一な状況下でのマスデータを分析することにより大きな儲けを上げている。しかし、それと違うのが、面白い。しかもこの龍西店には、店の守り主がいる。アンパンマンの貯金箱だ。なんでも工事の時、窓に立てかけてあったそうで、小さい子が毎日見に来てくれたという。今は、乾燥機の上から、切り株に座りみんなを見守っている。
山小屋、アンパンマン。一見違うように思えるが、これらのイメージは「明るい」「清潔」「温かい」という意味では共通している。