職業柄、年間、200種類以上の新製品を確認、内、推奨できそうなモノをセレクト、家で入念なテストを行うが、正直言うと、自信を持って推奨できるモノは数少ない。評価の観点は、性能、デザイン(コンセプト、設計)、そして価格。それらのバランスがよく、納得行くかということである。
その手厳しい評価をくぐり抜けた家電、「siroca マイコン電気圧力鍋 SPC101」を紹介したい。
「siroca」って聞いたことがありますか?
2011年頃から、地力を高めてきたブランドに「siroca(読み:シロカ)」がある。2016年4月に、このブランドを作ってきたオークセールという会社が、社名を「シロカ」に変えた位で、ブランドの地力も付いてきた。そして、私としても推奨できるブランドの一つだ。
siroca は白物家電(シロモノカデン)の『白(シロ)+家(カ)』の合成で作られており、お分かりの通り、白物家電のブランドであり、メーカー。由来が白物家電からも分かるように、日本のメーカーだ。この会社が非常にユニークなのは、「欲しいモノが買えないのは寂しい」、というのが大きな原動力になっていることだ。
多くのメーカーは、「Aという技術を持っているから、その技術が使えるBという商品を作り、世に問いたい。」という考えで創立される。ところがシロカは違った。ユーザーが欲しがっている商品を買える価格、つまり「お手頃価格」で提供することにあるのだ。当然、その商品は購入者にいろいろなことをもたらす。より美味しいモノが調理できたり、短い時間で同じ料理が作れたりと、日常的な幸福をもたらすわけだ。それを一人でも多くという思いから来るのが、「お手頃価格」へのこだわりなのだ。
白物家電の基本はかなり古い技術と言ってもいい。特許がない技術も多いし、難しい技術も多くはない。ただ、刃物、高温、等、危ないモノも少なくない。このため、品質管理は非常に重要となる。
siroca の第一号機は、「ホームベーカリー」であるが、ホームベーカリー は当時3~4万円で、多くの女性が衝動買いすることが出来なかった。それをお手頃価格にするために取ったのは、設計を極力シンプルにすることも1つであるが、その価格を実現でき、かつ品質が日本のユーザーの要求水準を満足させることができる工場を探すこと、がキーだったという。当時、担当は一人で300件以上の工場と交渉、確認を行ったという。工場一つ当たり、一日掛けたとしても300日。週休2日を考慮すると1年でも終わらない。一人で行うのは大変だったと思うが、評価にブレが生じないというメリットもある。その強固な思いが、siroca の「お手頃価格 でも高品質」という特長を生み出している。
また、中間流通を使わない、広告を出さないなど、お手頃価格を出すためにすべきことを全部しているそうだ。
ブランド名が、社名になった今もその精神は息づく。siroca 製品は「しっかりとした基本性能」、「シンプルな構成」、そして「お手頃価格」が特長である。シロカは白物家電の中でも、キッチン家電に力を入れており、前述の「ホームベーカリー」以外に、「ノンフライオーブン」「コーヒーメーカー」などのヒット商品がある。どれも市場にニーズをきちんと受け止めた商品だ。私もテストしてみたが、この3つは、お勧めできるレベルである。
しかし、今回取り上げるのは「siroca マイコン電気圧力鍋 SPC101」。これには野球で言うと、3者連続ソロホームランを見たような凄さを感じた。シロカと社名を変更してからのキャッチフレーズ「ていねいに、うつくしく、こだわって」の体現と言っても過言ではない。そのこだわりを見て見よう。