2024年11月22日(金)

したたか者の流儀

2017年3月23日

 かつてフランスの源流フランク王国は髪の長い人はフランク人で半分刈り上げた人はフランク王国の兵でありその他の条件は問わなかったと聞いた。現在でも有名な外人部隊の入隊基準はそれに近い。兵役が終われば、新しい名前と新しいパスポートがもらえる。元が何者であれフランス人誕生だ。この基本感を知らないと間違う。

 確かに、テロとイスラム教やアラブ人を結びつけることもできるが、それ以上に心は広い。なぜなら、自らも何者か気にしないのがフランス人だからだ。先祖はネアンデルタール人なのかゲルマン人として進入したのか、はたまた土着のケルトなのか、バイキングとして侵入したノルマンなのか、北アフリカからの出稼ぎ移民なのかはさほど重要ではない。

 ちなみに、マザリンは家柄も学歴もエリート中のエリートだが、モロッコ人のパートナーとの間に子どもをもうけている。ルペンの移民排斥論は理解がしやすいが、実際は複雑に生活の中に入っていて、傍から見るほど単純ではない。因みに国民議会577人中ルペンのFN党は1%以下に過ぎないのが現状だ。

別のところにある本当の心配

 本当の心配は別のところにある。ミッテランが名大統領になれたのも、時期をずらして行われる国政選挙の結果であり、要所要所でジャック・シラクなど反対政党に首相を任せたからだろう。すなわちコアビタシオン(保革共生)のお陰であろう。大統領の任期は7年で国民議会は5年なので適度な調整がきいた。しかし、シラクは大統領二期目から大統領任期を5年とし、国民議会と同時期の選挙となってしまったのだ。今年も6月に予定されている。したがって、微妙なバランス調整で政局を乗り切ることが不可能となってしまった。

 もう一つの心配は、現在最有力候補でフランスのトニーブレーヤーと呼ばれるエマニュエル・マクロンは25歳上の女房で有名だが、経歴も素晴らしくロスチャイルド銀行で支配人をしており、ポンピドー大統領が政治家になる前についていたポジションだ。このマクロンが2015年産業大臣時代、日産自動車をルノーの完全子会社化を試みたことがある。フランスの子会社化は甘く見ると大変なことになる。名門インドスエズもクレディ・リヨネも同じ経緯で消えた。ペシネもだ。

 80年代まで日産車は海外ではダットサンブランドであったが、やっと出来た日産ブランドがルノーになるのは悲しい。かの国のポピュリズムの心配の前にこの点を心配すべきと思うがいかがであろうか。
 
 日本のテレビ番組で「提供は日産自動車改めルノー自動車でした」となったらどうしよう。

  
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