ところで、ナヒモフ号の金塊騒ぎを知っているだろうか。日本海海戦で沈んだロシアの軍艦に財宝が積んだままとなっているというふれ込みで、既にいろいろな事件が起きているそうだ。最終的にどうなったのかわからない。見つかりそうだというと当時のソ連が所有権を主張したところまで覚えている。
同じく海底の宝探し話、アラン・ドロンの出てくる映画「冒険者たち」は何度見ても飽きない。1960年前後にベルギー領コンゴで動乱があった。世界中からおもちゃの兵隊と揶揄されたベルギー軍であればあんな展開になるだろうといわれ、そのとおりになった。
映画では、現地のリッチマンは小型機で脱出する。もちろん持てるだけのダイヤや金を持って乗り込むが沖合に墜落してしまう。操縦士は助かり、リッチマンに飛行機を手配した軍人もすべての事実を知っている。そこで宝の争奪戦が起こるのだ。
当時アフリカ民族主義が勃興し、資源大国ではいくつも内乱があった。特にベルギー領コンゴは宗主国と比べて巨大な国土で天然資源の宝庫であったため、コンゴ動乱と言われる事件に発展する。先の墜落事件は映画の話だ。
同時期に全くの実話の墜落事故があった。1960年、ベルギーの植民地から独立を果たしたコンゴは、激化する内乱の沈静化のため国連に援助を求めた。第二代国連事務総長ハマーショルドは数度にわたりコンゴを訪問していた。1961年9月コンゴ動乱で4度目の停戦調停に赴く途上で、搭乗したダグラス機は、北ローデシア(ザンビア)で墜落、ハマーショルドも巻き込まれて事故死した。
現職国連事務総長の事故死というショッキングなニュースであった。当時のソ連は強硬姿勢をとっていたことと、ブラックボックスのない時代の事故で、いろいろな憶測がされたが、単純な事故死が結論となった。没後の1961年にノーベル平和賞がハマーショルドに授与された。また、国連図書館は、「ハマーショルド図書館」と命名されているそうだ。
彼のように殉職する事務総長もいれば、昨年末退任した潘基文のように退任間際になって身内のスキャンダルが飛び出す人もいる。
日本は国連主義が基本なので国連に権威を感じる教育を受けてきている。明石康都知事候補が落選したりするとむしろ驚いてしまう。
しかし、よく見ると国連事務総長は過去8人のうち、4人はお騒がせであったと記憶している。少なくとも潘基文の件は現在進行形であり、韓国大統領選も絡んで予断を許さない。