2024年11月22日(金)

したたか者の流儀

2017年2月8日

 1970年代に10年近くその地位にあった、オーストリア人のクルト・ワルトハイムはヒトラーユーゲントであったことが後に発覚して男を下げた。

 暗殺されてエジプトのサダト大統領の盟友であった、ブトロス・ブトロス・ガリも身内のつまらない事件が発覚している。芦田伸介のような渋いおじさんで、シャンポリオンがヒエログリフ判読の手がかりとした古代キリスト教の一派コプト教徒でもあり、捨てがたい魅力があったのだが残念でもある。

 もう一人の問題児はコフィ・アナンであろう。ガーナ人の黒人事務総長であるが、やはり息子も絡んだいくつかの事件に巻き込まれている。連日、日本の新聞にまでこのスキャンダルは登場しているので本件は日本でも有名だろう。

 国連創設以来8人の事務総長が出ていて、現在9人目であるが、5割の確率でお騒がせとなっていることで少し考えてみた。第二代ハマーショルドの事故死を受けて、代理として就任した後、正式に二期10年に渡ってウ・タント事務総長はアジア人の事務総長として難しい事件の舵取りをした。ウ・タントは死後、ミャンマーに埋葬する際、時の軍事政権が横車を押したようだが、本人や親族の不正や腐敗の寡聞にして知らない。

 ともかく、事務総長は常任理事国以外の国家から選出される。EUの委員長がルクセンブルクやベルギーという小国出身者が多かったのと似ている。とはいえ、国連事務総長は権威と権限を持っているとしても、退職後の収入はしれているだろう。一方で米大統領は退任後いくら稼ぐかを知ったら卒倒するに違いない。オバマも既に数百億円規模の収入が想定されている。さらにゴージャスな年金はそこに追加されることになる。

 そこで、国連事務総長は自助努力をしなければ、ステータスは保てない。ワルトハイムや潘基文のように大統領を目指すのも一つかもしれない。

縁故主義が蔓延する国

 韓国も含めて、ネポティズム(同族登用)が蔓延する国の出身であり、お騒がせ確率が高い原因だろう。すれば、「“おじき”が国連事務総長なもんで」という輩も登場する。本人が知るか知らぬかは、ともかく、はたは放っておかない。ここに不正が起きる。

 この1月1日から事務総長に就任したアントニオ・グテレスはポルトガル人だ。ポルトガルの田舎町に行くと所在なげにじいさんが無数にたむろしてる。家の姪の連れ合いの別れた妻の夫が今度……という話をしているようにも見える。どうかポルトガルまでそんなことにならないように期待したい。さもなくば四代続いてのお騒がせとなる。

 ところで、どうして日本の文科省は、甥で叔父でもないのに他人の就職を頑張るのだろうか。
ネポティズムは、nephew(甥)からきている。

  
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