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2017年4月8日

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突出したテスラの販売台数

 しかし、見方を変えればボルトの売れ行きは「ごく普通」とも言える。同時期の日産リーフは3287台でほぼ同等、フォード・フュージョン・エネルギが2445台。あとは全て2000台以下に止まる。逆に言えばモデルS、Xを合わせて1万台以上売り上げたテスラが突出しているだけだ。

 ここにEVの抱える問題点が見える。テスラが売れるのは「専用EVチャージステーション」を持つためだ。しかもS、Xはこれを無料で使える。しかしボルトを始め普通のEVが使える公共のチャージステーションはまだまだ少ない。

シボレー「Bolt」(GM)

 あるボルトオーナーのブログでは、北カリフォルニアから南カリフォルニアまでを走行した記録が綴られていた。ガソリン車なら5、6時間ほどの距離だ。ところが高速で走行すると238マイルのはずのボルトの継続走行距離はどんどん縮み、100マイル程度になった。充電ステーションは限られ、1回の充電に30分から1時間かかるため、ボルトでは11時間半かかった、という。またこの間の充電料金は88ドルで、同じ距離を走った場合のガソリン代と変わらない。

 つまり道路インフラがEV大量生産の時代の実情に追いついていない、と言える。もう一つの理由は、今年後半にデリバリーが始まる予定のテスラモデル3に40万台もの予約が入っている、という点だ。3万ドル台のEVを購入しようという人の多くがテスラに予約を入れてしまったため、ボルトには興味を持たない実情がある。

オーバーキャパシティーの懸念

 ただしこの先ボルトに希望がないか、と言えばそうでもない。全てはテスラモデル3の出荷状況にかかっている、とも言える。現在でさえモデルXは予約から2年経ってもデリバリーされていない人が多く、顧客はテスラに対し不満を持ち始めている。そこに40万台のオーダー、というのはどう考えてもキャパシティオーバーだ。

 テスラでは今年2月、従業員が「労働時間が長く、労働環境は危険で、その割に収入が低い」とUAWに訴え出る、という騒ぎがあった。実際テスラでは1日3時間以上の残業は普通で、従業員の入れ替わりが激しいと言われる。テスラは「社内に組合を作ろうというオルグ活動」と声明を出したが、テスラの従業員の時給は17〜21ドルで、UAW組合員の平均25.58ドルを下回る。

 量産体制に向け工場労働者を今までの1.5倍に増やす取り組みを行っているテスラだが、こうした社内の不満が募れば業務に支障がでる可能性もある。これまで年間3-5万台程度を作っていた企業がいきなり10万台以上を量産するのは容易ではない。

 モデル3の出荷状況次第では予約を取り消し、次善の策としてボルトに乗り換える顧客が増えるかもしれない。来年以降の状況次第で、ボルトにはまだ可能性がある。しかもメーカーがGMシボレーだけに、量産が間に合わず顧客を待たせることもない。

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