トランプの二者択一
フリーダム・コーカスのメンバーの中には、トランプ大統領がエスタブリッシュメント(既存の支配層)に屈服し、エリート層の一部になってしまったと主張するメンバーがいます。選挙期間中、ウォール街の金融機関とヒラリー・クリントン候補(当時)の癒着を厳しく非難していたのにもかかわらず、閣僚に米金融大手ゴールドマン・サックスの幹部を起用したことが一因になっています。
現在フリーダム・コーカスの議長であるマーク・ミドウス下院議員(共和党・ノースカロライナ州第11選挙区)は、2016年の選挙で62.2%を得て民主党候補を破っています。ジョーダン下院議員は68.1%、ラブラドア下院議員は68.0%、ジャスティン・アマッシュ下院議員(共和党・ミシガン州第3選挙区)は59.4%、ミック・マルバニー下院議員(共和党・サウスカロライナ州第5選挙区)は59.1%を獲得して勝利を収めています。これらの選挙区はかなり保守的であり、一部の米メディアからフリーダム・コーカスの現職議員は無敵と言われています。2018年米中間選挙でフリーダム・コーカスに所属する現職議員が再選する可能性が高く、トランプ大統領に対する共和党内の対抗勢力は存続すると予想できます。
トランプ大統領はフリーダム・コーカスのメンバーないし民主党の一部と政治連合を組まない限り、今後も選挙公約の実現が困難になります。同大統領は二者択一を迫られているのです。
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