規格統一は可能なのか?
実は、空気清浄機の規格はこの3つでだけではない。韓国、カナダなども独自規格を用いている。では、どんな規格でも同じ値が出て来るのかというとそうではない。
ユーザー全員が使う「適用床面積」。この値が違うのだ。同じ空気清浄機でも、JEMの方が大きく、AHAMの方が小さくでる。このためAHAMの方が信用できると言う人もいる。ただ規格を思い出して欲しいのだが、JEMは規定される部屋に対しての30分での浄化効果の確認に対し、AHAMのCADR(クリーンエア供給率)は、清浄な空気をどの位送れるか、つまりは部屋によらず継続清浄力を重視した規格であるための差だ。
日本市場では、日本メーカーがずっとJEMで性能を提示してきており、基本的には継続したい考えだ。これにはメーカーは今までの製品データーが使えなくなると困るという理由もある。気持ちはよくわかる。
CADR 最高値をマークした、シャープのFP-140EX
そのJEMで育った日本の空気清浄機のポテンシャルはどのくらいかということで、シャープのFP-140EXの例を引きたい。この製品、オフィスなどの広いところで使用されることを想定した「空気清浄機」であり、幅549×奥行327×高さ818mmと大型サイズだが、加湿機機能などは付いていない。フィルターのダブル搭載に加え、ファン&モーターもダブル搭載した空気清浄機だ。言うまでもなくCADRを稼ぎやすい仕様だ。実際、CADRは、「タバコ」「花粉」「粉じん」ともに最高値を叩き出している。ちなみに最大風量は14m3/分だ。
しかも日本メーカーらしいのは動作音を国内規格:JEMに合わせてきたところ。「強」だと風速:14m3/分で55dB、しかし「静音」では風速:3.2m3/分で、26dB。
また、お得意のプラズマクラスター25000 搭載である。ただし、プラズマクラスター25000の適用畳数は約39畳。空気清浄機適用床面積はJEMに準じて算出し、〜65畳。当然、シャープとしてのおすすめ畳数は、〜39畳となっている。
付け加えられ出した「8畳のお部屋の清浄スピード」値
最近の日本メーカーのカタログに付けられ始めた数値がある。それが 「8畳の部屋の浄化スピード」だ。外から帰ってきた時、春先などは花粉が服に付いて部屋に入ってくる。花粉症の人には大変なことである。そうなった部屋の空気をJEMの標準レベルにするまでの時間である。つまり空気の浄化スピードを表したわけだ。CADRに似た考えだ。ただしAHAMのCADRより、8畳浄化時間の方がイメージしやすい。
カタログの、どの数値を読むか?
以上をふまえると、空気清浄機を選択する時、見るべきことは2つある。
- 8畳の浄化スピードもしくは、CADR
- メーカーが推奨する適応畳数
(1)をトップに持って来たのは、花粉などを想定してである。アレルゲンはサイズが大きいので、日本で名の知れた空気清浄機は確実に浄化できるが、吸い込んだ時の発症率が高いため、高速浄化が重要だからだ。特にアレルギー体質の人は、一度症状が出るとその苦しみは一通りではないからである。
バイ菌は、アレル物質より多少小さいが、こちらも浄化できる。
インフルエンザウィルスなどを心配するむきもあると思うが、インフルエンザの感染は、「飛沫感染」「接触感染」が主であり、「空気感染」の確率は少ない。
(2)次は適応畳数であるが、こちらはある種目安。JEMの場合は、30分浄化が基本であるが、(1)の様な考えだと、30分は時間として適切なのかが問われる。
また日本の製品は、ウィルス他の対応のため、イオン発生機を付けている場合が多いが、前項のシャープの例でも分かるように、フィルタリングで対応できる畳数に対し、狭い範囲しか効かない。シャープの例でも分かるように、フィルタリングで算出したJEMの算出体積より、小さくなる。このためメーカー推奨値がベストである。
片や、CADRは、単位時間での算出であるので、こちらは割と現実的である。しかし実際の部屋は、測定部屋と違って、家具も置いてあり、理想的な空気の流れができるとは限らないので、やや低めに見た方がイイと思う。
空気清浄機を選ぶ時は、自分の予算内で、この(1)(2)のデーターがイイものがお買い得だ。他の機能は、(1)(2)の値が同じ時に、考慮すればイイ。
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