とにかく、この高速除去を維持するのがAHAMの考え方だ。花粉症の元になる花粉除去を含め、即、除去した方がイイのは当たり前であるが、そのためには、ガンガン空気を出し入れする必要があること、ガンガン空気中の物質を除去する強力なフィルタリングがあるのが前提になる。
このため、CADRの高い空気清浄機は、強力なモーターと大型の開口部が必要なので、大型化することになる。
さらに言うと、これはリビングが広いアメリカ的な発想でもある。大きい部屋の空気を確実に綺麗にするという考え方で、部屋の大きさに依らず、となるとAHAM評価は重視しても良い(後述するが、日本でメジャーなイオン放出で対応する方法には、ある程度のイオン濃度が必要なため、大部屋では不利)。またテストされる空気清浄機を非据え付け置き型(ビルトイン型でない)と定義している。「部屋が変わっても常に同じ」という思想だ。
また、このテストは第三者機関で行われる。
AHAMを使用するブルーエアなどのメーカーは、JEMと日本メーカーがそうであるように、AHAMと密にコンタクトしているそうである。規格が違えども、規格と開発メーカーが密であることは重要である。
新GB、中国の新しい規格は、全部盛り
GBは、2015年4月に定められた中国の規格。今、中国は、この規格をクリアしたものを推奨していると聞く。
それまで中国ではCADRを採用していた。しかし、今や空気の汚れが世界一酷い国というレッテルが貼られた中国。清浄な空気は貴重品。「ならば」と言うことで、規格も自分で作ったのだ。
この規格は、中国語版しかなく、しかも一般開示がされていない。が、今回、お願いして概要を入手することができた。
基本はCADR。それに「ホルムアルデヒド」の除去が規格に織り込まれている。中国のマンションなどの内装はほとんど新建材で、ホルムアルデヒドがバシバシ出てくるためだ。中国のマンションは内装なしが基本、後で業者により自分の好みにするのが一般的だが、一流とされる業者ですら、新建材を使うためだ。日本では建築法により、ホルムアルデヒドがでない、もしくは換気を行い中毒などが起きないように規制されている。が、中国は後手に回っており、空気清浄機に頼っているそうだ。
そして「フィルター寿命」にも規定があるそう。日本でフィルター交換不要なモデルを持って行ったとしても、「あっ」という間ではないものの、かなりの頻度で取り替えが必要となるレベルではないかと言われている今の中国。決して安価ではないフィルター。一庶民としてはうなずける。
加えて「騒音」にも規定がある。先ほども書いたが、CADRを上げるには、強力なモーターが必要。それをぶん回さないとダメ。が、静音モーターなどは、かなりの技術力が必要。ただ単に大きくすれば良いと言うわけではない。しかし、そうしないと安眠できない騒音レベルだがCADRは最高値というモデルがドンドン出て来ることになる。
とにかく世界で一番空気汚染がひどいエリアを持つ中国。国民の生活を守るためだろうが、細かい所まで規格されたことがわかる。
中国の新GB規格は、新しくもあり厳しいが、メーカーにとっては、どうかというと、そんなに厳しくないと言う人もいる。その人の言葉を借りると「『ホルムアルデヒド』、『騒音』、『フィルター寿命』。今まで作り込んできた技術で大丈夫!」ということだ。