また、30分という時間は、1970年に建築物衛生法で定められた換気が30分に1回換気することから来ている。つまり換気1回分の時間の中で、20〜32m3の部屋で浄化テストする。ちなみに、32m3は中京間と呼ばれる畳サイズで、8畳の部屋と同じである。昭和は4.5〜6畳が一般的だが、平成は8畳が一般的だ。測定に使うデジタル粉じん計の感度は、0.02mg/m3以上であり、問題ない精度を有する。
このように日本の規格は、日本のいろいろな規制と日本の住宅に合わせた規格になっているわけだ。テストはメーカーが、自社内にテストルームを持ち行う。開発するのも必要だとの考え方からだ。このためカタログデーターなどは、当規格に沿ったメーカー測定値で表される。
このJEM規格以外の物資に対してはと言うと、タバコと同じ微細で問題になる「PM2.5」は、同じ日本電機工業会の自主基準、HD-128でサポートしていたが、2015年に改定、現在はJEM1467で規制されている。「ホルムアルデヒド」などの化学物質はメーカー毎の自主規格をテストし保証。「細菌」などの微生物に関しては、それに応じたテスト規格を第三者機関で行い検証している。
微生物に対し別テストをしているのは、日本メーカーの多くが、イオン発生機を有しており、その効果の実証データーとしてでもある。
AHAM、アメリカもしくは一番採用している国が多い規格
日本以外でメジャーなのがアメリカで制定されたAHAM のCADR(クリーンエア供給率。規格:ANSI/AHAM AC-1)。制定は2006年。こちらは『タバコ』と『ホコリ』と『花粉』で測定する。空気清浄機により濾過された空気の供給量を表す指標だ。
タバコ煙、ホコリまたは花粉を実験室に入れ、専用の測定機器で物質の粒子濃度を測定するのだが、具体的にはまず、空気清浄機なしで実験を行い、自然減衰率を算出。次に、空気清浄機を高速で稼動させた後、粒子濃度の測定を行い、得られた除去率から自然衰退率を差し引く。これで空気清浄機が行った除去分がでるわけだ。その値に、実験室の広さ(体積)を考慮して導かれた値が、CADRとなる。
数値が高いほど浄化性能は大きく、「タバコ煙」「花粉」は450、「粉塵」は400がそれぞれ最高値。単位は「ft3/分」となる。国際単位のメートル系ではなく、フィートを使うところなどはアメリカらしい。
閑話休題。CADRは最高値以上の能力は、同じとされてしまう。この時、使われる表現の「最高基準の認証を取得」。「最高基準」はこの「最高値」をマークしたことを意味する。そして最高値を逆算すると、8畳(32m3)を約3分に1回、部屋の空気を空気清浄機内に送り込むことになる。AHAMではこの速度が空気清浄として意味がある限界としていると言い換えてもいい。