中東を読み解く

2017年5月2日

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イラン、ロシアの影

 とりわけトランプ政権は隣国のイランとロシアがタリバンを支援しているのではないか、との懸念を深めている。イランとロシアはこれまで、米軍がアフガニスタンから撤退するよう要求してきたが、アフガン駐留米軍のジョン・ニコルソン司令官はこのほど米上院での証言で、両国が米国の取り組みを切り崩そうと図り、タリバン支援で連絡を取り合っている、と非難した。

 同司令官によると、ロシアはタリバンを公式に正当な組織と認め始めており、イランはタリバンに直接的な支援を行っているという。イラン、ロシアともこの司令官の発言をねつ造と一蹴しているが、両国がタリバンを支援する理由は大いにある。

 それは両国ともISに対する「防波堤」の役割をタリバンに担わせたいと願っているからだ。スンニ派のISにとってシーア派のイランは不信心者の最大の敵だ。イラクやシリアでは、イラン配下のイラクのシーア派民兵がISと戦っている。アフガニスタンでISが勢力を拡大することは隣国イランの安全保障が脅かされることを意味する。

 シリアのアサド政権(シーア派系アラウイ派)を支援するため軍事介入し、国内のイスラム過激派対策に悩むロシアにとってもアフガンでのISの勢力拡大は阻止したいところ。ISがシリアでのロシアの空爆への報復を誓っていることもロシアの警戒心を高めている。

 ロシアのプーチン政権はすでに、イラン、中国、パキスタンなどとアフガニスタンの和平交渉を主導する意欲を見せ、中東で強めている影響力をアフガンにまで広げようと図っている。

 しかしアフガンの治安回復のため、これまで2400人もの将兵の血を流してきた米国にしてみれば、ロシアの動きは容認し難い。ロシアの動きをけん制するためにも、早急にアフガン政策を策定できるかどうか、トランプ政権の戦略が問われている。

  
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