トランプ政権はサウジが反カタールの攻勢を開始することを事前に知っていたのだろうか。サウジを現在、実質的に取り仕切っているサルマン国王の息子、ムハンマド副皇太子とトランプ氏の娘婿ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問の2人が極めて近い関係にあることを考えると、少なくとも示唆されていたのは間違いあるまい。
トルコは制裁に反対
しかしティラーソン国務長官、マティス国防長官が事態を憂慮し、調停に乗り出す姿勢を示していることを見ると、知らされていたのはホワイトハウスのほんの一握りだったと見るのが妥当だろう。
米国の過激派組織「イスラム国」(IS)への空爆作戦の司令部はカタールのアルウデイド空軍基地に置かれており、今回の反カタールの動きが大詰めを迎えた対IS作戦に支障になる懸念もある。
またトルコのエルドアン大統領がカタールへの制裁に賛同しない、と批判するなどアラブ世界の分裂と分断が深まる様相を示している。こうした混乱が拡大すれば、2022年にカタールで開催されるFIFAワールドカップをボイコットする動きも出てくるかもしれない。影響は計り知れないほど大きい。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。