世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年7月3日

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 この論評に示されている意見の多くのポイントはよく理解できます。確かに、日韓は双方の利益のために協力し、関係改善を図っていかなければなりません。しかし、同時に米国の専門家にとって、日韓関係の複雑さや理不尽さ等の微妙なところは未だに十分に理解されていないような感じも受けます。

 慰安婦合意について文在寅は安倍総理との電話で「国民感情」が受け入れないと述べましたが、そういうことを言えば、日韓関係は何時までも新たな時代に入ることができないでしょう。国民を引っ張っていくのも、国民感情を政治利用しないのも、政治指導者のリーダーシップです。それがない限り、問題は永遠に再生産され、疲労感が溜まるだけです。

 その意味で、二つ大事なことがあります。第一に、日韓関係を世界に露出することがお互いの利益になるのではないでしょうか。両国関係はこれまで二国間の閉ざされた世界の中でしか動いて来ませんでした。日本としては、日韓が双方で何を言い、和解のために何をして来たかなど、両国の行動を事実として世界にきちっと知らしめ、理解してもらうことが一層重要になってきていると思われます。

 第二に、両国はお互いにもう少し鈍感になるべきです。一般政治家の一部が何を言った、何をした、などといったことに過剰反応し、二国間関係を止めるようなことは慎んだ方が良いでしょう。

 この論評は、進歩派の文在寅大統領と保守派の安倍総理こそが両国の和解を築く最適な指導者だと言っています。文在寅政権下で日韓関係が改善し協力が進むよう期待したいところですが、今までの文在寅の言動等を総合的に見ると、李洛淵首相のように日韓関係の問題点を知悉し真摯な努力をしてきた関係者等はいるにせよ、残念ながら楽観するには早計なように思われます。釜山総領事館前の慰安婦像設置に決定的な影響を与えたのは文在寅です。同氏が仕えた廬武鉉と同様に確立した対日観、韓国外交ビジョンを持った人のように思われます。ただ、いずれにせよ、日本としては、新大統領が日韓関係強化に乗り出すというのであれば、これに応えていくべきしょう。

  
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