2024年4月20日(土)

赤坂英一の野球丸

2017年8月2日

 しかし、小川は中村のサインに首を振る。あえて前回打たれたのと同じ内角の真っ直ぐを選択したのだ。詰まらせて内野ゴロに打ち取ろうとした、という以上に、もう一度自分の真っ直ぐで雪辱したかったのだろう。が、結果は左中間を破られるタイムリー二塁打となり、三塁走者が返って3-3の同点。試合は延長12回引き分けで連敗を止められず、このあと連敗記録が14まで伸びてしまう。

負けん気の強い小川

 心身ともに疲労困憊だったはずだが、小川は前半戦終了後、オールスターにも出場している。ファン投票で選ばれた選手がひとりもおらず、監督推薦を受けるべき選手も軒並み故障で、1球団から最低ひとり出場させなければならないという規定により、小川にお鉢が回ってきたのだ。第2戦で7回1イニングを投げて2安打1失点ながら、ここでも真っ直ぐにこだわり、150キロを計測。「ストレートで勝負できたのがよかった」と話したところが、負けん気の強い小川らしい。

 抑えで味わった屈辱を胸に刻み、本来なら楽しむべき球宴での登板も復活のために生かそうと努力を重ねたのち、小川は後半戦から先発に復帰する。そして、7月30日、因縁の広島戦で、見事に「先発再転向1勝目」を挙げた。その小川を懸命にリードした捕手はもちろん中村である。彼ら若いバッテリーを中心に復調気配のヤクルトが、これからどれだけペナントレースを引っかき回してくれるか、秘かに期待しつつ見守りたい。

  
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