ツイッターの制御は不可能
ケリー氏が首席補佐官として成功するかどうかは当面、2つの事にかかっている。1つは大統領に一番影響力を持つイバンカ氏とその夫のクシュナー上級顧問の2人を味方に付けることができるかだ。
この点に関し、米専門家はレーガン政権の首席補佐官だったジム・ベイカー氏の手法を見習うべきだと進言している。ベイカー氏が首席補佐官に就任した時もホワイトハウスは権力闘争で内紛が激しかった。
しかしベイカー氏はレーガン大統領のナンシー夫人と、レーガン夫妻の家族同様だったディーバー次席補佐官を味方に付け、ホワイトハウスをうまく統括した。ケリー氏がこれと同じように、クシュナー夫妻と同盟関係を築くことができれば、前途に光明が見えてくるかもしれない。
だが、ホワイトハウスの秩序回復にとって最大の不安要因はトランプ大統領本人の言動だろう。トランプ氏は気まぐれで、衝動的なことに加え、実業家時代から側近同士を競わせて忠誠心を試すことを好み、大統領になってからもこの性向は変わらない。部下の権力闘争を楽しみ、対立を煽ることさえある。
しかも、たびたび問題を起こしてきたツイッターでの不規則発言を今後もやめる気配はない。トランプ氏は31日、「ホワイトハウスにとって素晴らしい日だ」とツイートし、ケリー首席補佐官の誕生を祝ったが、いつトランプ砲が炸裂するか分からない。ケリー氏が大統領のツイッターの制御をするのは不可能だろう。ケリー氏にとってこのツイッターの管理が2つめの問題だ。
ケリー氏のもう一つの懸念はロシア・ゲートで大統領が嘘をついていないのかどうかだ。大統領が真実を話していないという疑念が生じれば、首席補佐官として、国を守ってきた軍人として大統領を質さざるを得ない局面が訪れるかもしれない。その時こそ、ケリー氏の真価が問われることになる。
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