WEDGE REPORT

2017年8月4日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

ハイブリッドよりEV

講演したデリオン米カ州上院議長」(日本記者クラブ提供)

 デリオン上院議長は英国やフランスが将来的に化石燃料による車の販売を禁止する方針を決めたことについて「両国の野心的な政策を高く評価する」と指摘、カリフォルニア州としてはEVを普及させるために「充電インフラの整備を急がなければならない。インフラができればカ州はEVの大きな市場になるだろう。この流れは全米に広がってほしい。この変化に対しては政治的な権益を守るための反対勢力が残っているが、雇用を生み出すためには必要だ」と強調した。

 またカリフォルニア州で自動車メーカーに対して販売台数の一定割合を電気自動車(EV)などの排気ガスゼロ車(ZEV)とするよう義務付けたZEV規制について、「市場に対してシグナルを打ち出す必要があり、今後も規制を強化していく」と言及、日本の自動車メーカーが得意とするハイブリッド車がZEVから外されたことには「ハイブリッド車は内燃機関の車よりは良いが、炭素の排出がゼロのEVの方がさらに好ましい」と述べ、EV重視の姿勢を示した。

 さらに、ウィコフスキー議員は「米国がパリ協定から外れたのは恥ずかしいことだ。しかし、カルフォルニア州は全米で排出ガス規制ではリードしており、カ州の排ガス規制をほかの10の州が導入しようとしている」と指摘した。

 トヨタ自動車など日本政府、メーカーが開発に力を入れている水素燃料で動くFCV(燃料電池車)については「これまでのところはZEV対策車やEVがより素早く発展している。顧客が欲するものであれば、インフラの整備も行い必要な政策を打ち出して資金も引き付けていく」と指摘、FCVの将来については市場が受け入れるかどうかにかかっているとの見方を示した。

 カリフォルニア州は知事、上院議員共に民主党が占めるなど、もともと民主党が強い地盤を持っており、環境対策ではこれまでも先進的な政策を推し進めてきた。デリオン上院議長の講演を聞く限りはこの方針は変わらないようだ。一方、トランプ政権はパリ協定からの離脱を表明するなど、温暖化対策には消極的な姿勢だ。連邦と州政府の方針が対立する中で、カ州がどこまで独自の政策を堅持できるかどうかが注目される。日本の自動車メーカーにとってもカリフォルニアは販売台数の多い州だけに、その政策の行方次第ではメーカーの生産体制にも大きな影響を与えることになる。

  
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