2024年7月15日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年9月27日

 イスラム主義者と言ってもいろいろで、そのすべてを弾圧するのではなく、穏健派と協力すべきであるという社説の主張は、その通りです。

 イスラム主義者とは、シャリーア(イスラム法)に基づく国家、社会を作ることを目指すイスラム運動者です。

 イスラムは、預言者ムハンマドが初期イスラム共同体の指導者であったことが示すように、本来、政教一体です。それが近代トルコによる世俗的イスラム国家建設で変わりましたが、それに対する反発、西欧文明に対する反感などから、最近、イスラム主義の運動が盛んになってきました。

 その中で、穏健なイスラム主義の代表はチュニジアです。チュニジアでは、アラブの春で独裁者ベン・アリが追放された後、選挙でアンナハダ党が第一党となって連立政権を樹立し、コンセンサスを重視するなど、穏健な政策を実行し、党と支持宗教団体を切り離しました。指導者のラーシド・ガヌーシーは、アンナハダ党はイスラム主義政党ではなく、「ムスリム民主主義」の党であるとすら言っている由です。

 チュニジアのイスラム主義が穏健であるのは、一つにはチュニジアにはエジプトやトルコと違って、強力で政治的な軍がないためであると指摘されています。その他に、チュニジア社会の教育、文化程度が高いことが挙げられるでしょう。インテリがチュニジアのアラブの春を支えてきたのです。

 したがって、チュニジアで起きたことが他の国で起きるとは限りません。社説はイスラム主義を穏健な方向に向かわせる方法は、アラブの経済と政治を少しずつ開かれたものにすることである、と言っていますが、それには教育の普及といったような社会の基礎が必要であり、長い目で見る必要があります。

  
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